第5話
チラチラ送られる冷たい視線、隣に居る彼に「一体何をやったんだ」と聞きたかったが自分も大概ではなかったのでやめにした。
今、私達はギルドに来ている。
「なんかこの視線、ドキドキするよね」
「しないわ」
謎のツッコミをしてる間に私達はメラミさんの前まで到着してしまっていた。
「お二人共、久しぶりですですね。何回捕まったのですか」
「私はまだ1回だけだ」
「僕もまだ3回だよ」
…先輩かよ。
メラミさんに挨拶がわりの罵倒を受けながらも私達は、クエストの依頼を受けた。
【ビッグピッグ4体の討伐依頼・開始】
ビッグピッグ、すなわちデカい豚である。
初心者でも倒すことが出来る上にかなり美味しく頂けるのでこの依頼が尽きることは無い。全くもって有難い豚である。
「田中さん、でしたよね。」
「そうだよ」
「田中さんってなんの武器使うんですか?」
「僕、武器という武器をあんま使ったことないから」
「? どう言う…」
「盾役だったんだよ」
oh......今私に絶望という名の2文字が脳裏に浮かんでしまった。攻撃力2と盾役でどうやって勝てばいいのか、そもそも勝てるのかという事を。
「まぁ、大丈夫だよ。僕一人でも倒したことあるから」
その言葉を聞いて安心してしまった。何故だろうか、心強い言葉のはずなのに何故だか少しムカつくのは。なんか負けた気がする。なんか負けた気がする!
私がくだらないことを脳内で考えていたその瞬間である。突然の地響き。
ビックピッグの群れである。
ビッグピッグは4、5体の群れで動くことが多く、一体倒したら全部倒すまで追ってくるので討伐依頼も大体が4、5体である。
おぉ、これがモンスターか、なんかドキドキしてきた。
…よし、やるぞ。
「私が1体引きつけるので、あとの3体お願いします」
「君って、なかなかのドSだよね。まぁ僕にとってはご褒美なんだけど」
私は唯一ステータスが2ではない足で1体を引きつけ100円ローソ◯で買った、対象年齢8歳の弓で挑発する。
「田中さん、そっちはどうですか⁉︎」
「ふぅ、この子達の体当たりなかなかに良い。もうちょっと受けてから帰りたい」
「早くしてくれ!」
私が叫びを上げたあと、彼は見事なまでに4体ビックピッグをバッサバッサとなぎ倒し、こちらを見てドヤ顔をしてくる。
彼の強さは目を見張るものがあるが、性癖の癖があまりにも強すぎて強さが薄れていまっていた。あぁ、なんて残念な人なのだろう。
「これ多少解体していくとギルド側の手間が省けて多少お金上乗せしてもらえるんだよ」
「そうなんですか、知りませんでした。でも、解体なんて私は出来ませんよ」
「大丈夫ですよ、僕できるんで」
ハイスペックだ、ムカつく。
「では、お願いします」
彼が肉の解体を始めると中から「う゛ぅぅ」とうめき声が、中に人が入っているようだ。
ビッグピッグ如きに食べられるなんて「ふっ」こんな哀れ冒険者もいるのだな。
「腕引っ張りますよー」
「お゛ね゛が い゛じ ま゛ず」
「「せーーの」」すぽん。
中から出てきたのは、牢屋で出会ったあのロリ少女だった。
「助かりました。…ん?貴方はあの時の。これも何かの縁ですね、わたし今ソロで冒険者やってるんですよ。仲間に入れてください」
仲間にしますか?
はい
[いいえ]
「いいから仲間にしてくださいよ!」
「おい、やめろ!私の選択画面を勝手にいじるな!」
仲間にしますか?
[はい] カチッ、
いいえ
お兄さん、刑期過ぎましたよ。 落葉。 @satatatata
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