ありがとう

小川貴央

第1話 幸せにな!!

「どう、調子は?」


「あぁ、ぼちぼち・・・」


「アタシに何か出来ることない?」


「俺な、自分が余命幾ばくもないと悟った時、初恋の人に

 一目逢いたいとか、幼い頃に見た田舎の風景を描いて

 みたいとか、ラジコン戦車で思いっきり遊びたいとか

 結局、何も出来なかったな・・・」


「子供みたいな事ばっかり、何にも出来なくてごめんね」


「いいよ、お前がそばに居てくれるだけで、安心するんだ、

 俺こそ、お前に何にもしてあげられなかった、ごめんな」


「そんな事無いって、アタシを大切に想ってくれただけで」


「一つだけ、お前と一緒になれて俺は本当に幸せだった、

 俺の分も、いっぱい丈夫で長生きしてくれよな!」


「そ、そんな、アタシもあなたと一緒で幸せだったわ・涙」


「バカ、過去形使うのは俺だぞ、お前は未だ未だこれから、

 いっぱい、いっぱい幸せな人生を楽しむんだぞ・・・」


 涙・涙・涙・・・・・・・

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