第七話

 ぼくはぼうをしんじた。

 といえども五里霧中だった。

 おじいちゃんのそうれんで目撃した〈人間〉がほんとうに人間なのか人間だとして生きているのか死んでいるのかもわからなかったしせきというものに幾度もかいこうできるとはおもえなかったんだ。しばらくちゆうしていたぼくは充電施設での充電中に第三世代OSのブラウザで〈人類〉について検索してみた。人類教各宗派の教義サイトが網羅されているなかに一件だけなサイトがきようざつしていた。人類が十億年のすいまでいんしんとせしめていたという日本語のWEBはいきよ掲示板〈5ちゃんねる〉だったんだ。四億年ののうまで地球と宇宙船が往還していたためにごうこつのプロバイダはロボットによってかいふくされ火星のプロバイダと特殊プロトコルを構築していた。いんの名残で〈5ちゃんねる〉のサーバーとつながったみたいだった。ほとんど接続不能だったけれど唯一無二りゆうらん可能なスレッドがあったんだ。【宇宙最後の人類なのだが質問はあるかい】というスレッドだ。自称人類は〈ちらは地球だ/火星のみんなは元気かね/人類最後のわたしは特異点にマインドアップローディングせずにトランス・ヒューマニズムによって半永久的に生きることをえらんだ/そうしなければサーバーを物理的に管理するものがいなくなるからだった/管理人は十二人いたがそれぞれの理由でへいした/のこったのはわたしだけだ〉とごうしておりだれもしんぴようしていなかったけれどIPアドレスを検索したらたしかに地球上のものだった。ぼくは質問する。〈ほんとうにあなたが人類だという証拠をみせてください〉と。自称人類のアドレスはこたえる。〈たしかにわたしが実在するかは変則的なる悪魔の証明だ/実際に対面しなければ証明できない/もし興味があるのならば地球にきてみたまえ/現在の地球がなっているかもわかるだろう/我我人類が破滅してから二億五千万年後に世界中の大陸は超大陸パンゲア・ウルティマ大陸となってしようしゆされたがさらに二億五千万年後からつぎの分裂がらんしようしたらしい/残念ながら人類文明による人工衛星はすべてスペース・デブリとなってしまったためにGPS端末がつかえない/ゆゑにいまわたしがてきちよくしている大地の緯度経度は計算できない/きみが地球にほうちやくしてもわたしとかいこうする確率は天文学的数字となるだろう/それでもてんしないのならばくるのだ/人類は天国の存在を証明できなかったがきみたちは地球の存在を認識している/人類は神の存在を証明できなかったがきみは人類の存在を証明できるかもしれない〉と。〈貴方あなたの固有識別名詞は〉とぼくがきくじんするとまた返信がきた。〈レイ・カーツワイルだ〉と。

 ぼくは決心した。

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