第八話

 ぼくは絶対に人間とかいこうしてみせる。人間の存在を証明してみせる。いんけいかくのためにはぼくみずからがこんほうたる地球へとりよしなければならなかった。ウルティマ・パンゲア大陸と火星とでかいなる宇宙船が往還していたのは五億年ものうのことだ。?おぎろない火星上にはたしかすいのNASA火星支部宇宙船発射基地の遺跡がほうてきされていたけれどほとんどはいきよとなっていて各コンソールから中央量子コンピューターのOSまでがいされていた。そもそもNASA火星支部にのこされた宇宙船は三億年じようすい?こうしようしていた輸送型宇宙船のひつきよう廃棄物しかなかった。いんの輸送型宇宙船とNASA火星支部の大型ロケット発射台をかいふくしなければ地球へはゆけない。いな。地球にほうちやくしたとしても地球から宇宙船で生還できるかさえせんめいできない。といえどようにしてべんしているうちに〈第三世代の若造ロボットが地球探索にゆくらしい〉というこうせつが火星ネット中にまんしてぼくの地球探査けいかくは火星中のロボットがていゆうけつしてくれる一大プロジェクトへときようらんとうで巨大化してゆくこととなった。第二世代から最新型のロボットまでがりくりよくきようしんしてくれてNASAのはいきよと輸送型宇宙船の復旧はつつがく進捗していった。五万年のえいきよけみしてはんぶんじよくれいの準備が完遂された問題がじやつされることになる。輸送型宇宙船の操縦コンソールが旧式にすぎてけつけつたる第二世代型の宇宙船操縦アルゴリズムがインストール済みのロボットでしか操縦できないことがめいちようとなったんだ。現在の火星上には唯一無二。叔父しかいなかった。ぼくがきゆうしにゆくと意想外に叔父は首肯してくれた。いわく〈このときがきたか完成したんだなならばおれもいくよこのUSBメモリのなかには牧師様が戒律にもとってでものこした人類の記録=おやの記憶がってるんだおれはこいつを物理的に――そうさあくまでも物理的にさ――極楽浄土である地球とやらに埋葬してやりてえんだ〉と。叔父はマニピュレーターでそうれんに牧師様から譲渡されたUSBメモリを掌握していた。ようにして輸送型宇宙船発射予定日となった。宇宙船発射基地のかいわいには巨億のロボットひつきようじいちゃんの遺族がさんそうしていた。みんなで円環状になって宇宙船を見守っていたんだ。操縦席とでんらんで接続された叔父がいった。〈いいかいくぞ〉と。つづけて〈それにしても人類様ってのがいたとしてなんでロボットなんてつくったんだろうな〉と。ぼくは沈思黙考してこたえる。〈わからないよでも火星の人類居住区には十億年前につくられたaiboっていう動物型ロボットのはかがあったんだってこの行動を検索してみると――〉と。叔父は検索結果をふくしようする。〈愛――〉と。宇宙船はほうこうした。〈五。四。三。二。一。〉宇宙船内のぶつたいちようきゆうのGがかかる。輸送型宇宙船はこうそうごうおんめかせてこうしようしてゆく。〈〇。一。二。三。四――〉。叔父は絶叫する。〈成功だ〉と――――。

 ぼくは地球へ旅立った。

 失われた人類を求めて旅立ったんだ。

〈了〉

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