沈田子5 卒発狂易
次男の
また
劉裕が立ち去ったのを期に、
北に割拠していた
そこで沈田子、
ところで劉裕が
沈田子と
長安の近くにあることを憂慮していた。
奴が一門の都合を優先するのではないか、
そう思っていたのだ。なのでそのことを、
しばしば劉裕に言っていた。
すると劉裕、答える。
「ここにはお前たち文武精兵、
一万近くがいる。
仮にやつが動き出したところで、
それは自滅にしかならんだろう?
いちいちそんな事を心配するな」
だが、内心に疑念を抱える沈田子たち。
その周りでは、
「王鎮悪は江南人を殺し尽くし、
数千人ばかりの伴をつけて
劉義真様を追い出し、
長安で謀反を起こそうと企んでいる」
などと噂するものもある。
なので沈田之と傅弘之は共謀し、
劉裕の命令に偽装して
王鎮悪を殺したあと、
協力して赫連勃勃を撃退。
そうして長安の治安を落ち着けよう、
命令違反は、その後に謝罪しよう。
そう考えた。
沈田子は王鎮悪を、
傅弘之の陣地に招いた。
「仲の悪い俺らの間を
取り持ってくれるような人の所で
今後の相談をしよう」
ということだ。
そこに潜ませるのは、
沈田子の親族、
剛力無双の勇士である。
王鎮悪を招いたところで、
沈敬仁に、王鎮悪を強襲させ、殺す。
そこから手勢数十人ばかりを連れ、
長安の劉義真のもとに帰還した。
すると劉義真のサポート役、
沈田子の凶行を、見過ごす訳にはいかない。
捕らえ、殺した。
418年1月15日、時に沈田子36。
その功績から、
爵位の贈呈などが計画されていたが、
この事件があったため、白紙となった。
後に劉裕は安帝に上表、
沈田子は発狂しただけであるから、
深く罪を問わぬよう、要請した。
子がいなかったため、沈田子の封爵地は
弟の沈林子の次男、
大軍既還,桂陽公義真留鎭長安,以田子爲安西中兵參軍、龍驤將軍、始平太守。時佛佛來寇,田子與安西司馬王鎭惡俱出北地禦之。初,高祖將還,田子及傅宏之等竝以鎭惡家在關中,不可保信,屢言之高祖。高祖曰:「今留卿文武將士精兵萬人。彼若欲爲不善,正足自滅耳。勿復多言。」及俱出北地,論者謂鎭惡欲盡殺諸南人,以數千人送義真南還,因據關中反叛。田子與宏之謀,矯高祖令誅之,竝力破佛佛,安關中,然後南還謝罪。田子宗人沈敬仁驍果有勇力,田子於宏之營內請鎭惡計事,使敬仁於坐殺之,率左右數十人自歸義真。長史王修收殺田子於長安槀倉門外,是歳,義熙十四年正月十五日也。時年三十六。田子初以功應封,因此事寢。高祖表天子,以田子卒發狂易,不深罪也。無子,弟林子以第二子亮爲後。
大軍の既に還ざば、桂陽公の義真をして長安に留め鎭ぜしめ、田子を以て安西中兵參軍、龍驤將軍、始平太守と爲す。時に佛佛の來寇せるに、田子と安西司馬の王鎭惡は俱に北地に出で之を禦ぐ。初にして、高祖の將に還ぜんとせるに、田子及び傅宏之らは竝べて鎭惡が家の關中に在りたるを以て信を保ちたるべからずとし、屢しば高祖に之を言う。高祖は曰く:「今、卿ら文武將士精兵萬人が留む。彼れの若し不善を爲さんと欲さば、正に自滅に足るのみ。復た多言せる勿れ」と。俱に北地に出でるに及び、論者は謂えらく「鎭惡は諸南人を盡く殺し、數千人を以て義真を送りて南に還じ、因りて關中に據し反叛せんと欲す」と。田子と宏之は謀り、高祖が令を矯じ之を誅し、力を竝べて佛佛を破り、關中を安んじ、然る後に南に還りて謝罪せんとす。田子の宗人の沈敬仁は驍果にして勇力を有し、田子は宏之が營內にて鎭惡と事を計らんことを請い、敬仁をして坐にて之を殺さしめ、左右數十人を率いて自ら義真に歸る。長史の王修は田子を長安の槀倉門外にて收め殺す。是の歳、義熙十四年正月十五日也。時年三十六。田子は初に功應封を以て、因りて此の事は寢めらる。高祖は天子に表し、田子の卒發として狂易したれば、深きは罪せざらしむなり。子無く、弟の林子の第二子の亮を以て後と爲す。
(宋書100-7_仇隟)
あとは劉義真伝を見る必要もあるでしょうが、ここまでの結論として、沈田子による王鎮悪殺害が劉裕の指示である確率は50%。確証が取れるかといえば、ノー。「そのほうが面白い」までしか言えません。
問題とすべきはそれによって何がおきたか、であって、結果として王鎮悪の死→長安失陥、となりました。じゃあ、いたらどうにかなっていのか? って言うと、どうだろう。
長安失陥という結果があるから劉裕に関中への興味がなかった、って評価が下されるけど、じゃあそれって本当なんだろうか、って言われると、結局こう言うしかないです。確証が持てない。
確証が持てるか、持てないか。それに対して、じゃあどうだったら面白いんだろう、と妄想する。この部分はきっちり切り分けておきたいものです。
とりあえず南史だと義真に慌てて報告に走ってる傅弘之が、ここだと共謀者なのは気になりますね?
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