沈田子4 咸陽平定の功  

長安ちょうあんが平定されると、

劉裕りゅうゆう文昌殿ぶんしょうでんで宴会を開いた。


そこで沈田子に酌しながら、言う。


「長安が平定されたのは、

 お前の功績だ」


なので劉裕、沈田子を

咸陽かんよう相につける、と約束した。


あれっ、咸陽って

長安の北西の外れですよね?

「咸陽を落した」から咸陽相って、

トンチ効かせすぎじゃないですか?


ともあれ、沈田子も答える。


「咸陽の平定、これはまさに

 劉裕様が描かれた絵図、

 そしてそれを実現させた

 将兵らの力によるものです。


 この田子の力でなどありましょうか!」


こうして沈田子は咸陽、始平しへい

二郡の太守となった。




長安既平,高祖燕於文昌殿,舉酒賜田子曰:「咸陽之平,卿之功也。」即以咸陽相賞。田子謝曰:「咸陽之平,此實聖略所振,武臣效節,田子何力之有。」即授咸陽、始平二郡太守。


長安の既に平ぐるに、高祖は文昌殿にて燕じ、酒を舉げ田子に賜いて曰く:「咸陽の平、卿が功なり」と。即ち咸陽相を以て賞とす。田子は謝して曰く:「咸陽の平、此れ實に聖略の振いたる所にして、武臣の效節なれば、田子に何ぞ力有らんか!」と。即ち咸陽、始平二郡太守を授く。

(宋書100-6_賞誉)




王鎮悪おうちんあくの受け答えに引っ掛けてますよってところの強調になってるんですけど、いや、当時の言い回し考えれば、この辺の発言ってたぶん皆してるよね……? という印象もある。あと、「咸陽」と長安を文学的に表現したところ、本当に咸陽郡を与えるとかどんなギャグなんですか、という感じである。

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