王康1  逃亡生活    

王康おうこう 全2編



王鎮悪おうちんあくの弟の一人、王康。


かれは一門が東晋とうしんに逃れる中、

長安にとどまっていた。


劉裕りゅうゆう後秦こうしん討伐をするにあたり、

王鎮悪を先発隊として派遣した時、

王康、片田舎に逃れている。

後秦の人間に捕まり、

殺されるのを恐れたのだろう。


そして王鎮悪は破竹の快進撃をし、

遂に長安の玄関口、潼關どうかんに到達。

ここで王康は、家族とともに

王鎮悪のもとに逃れた。


そこで劉裕、王康を仮に

彭城にとどまっていた劉義隆りゅうぎりゅう

参謀として取り立てた。


将来、劉義隆を洛陽入りさせ、

その統治を補佐する予定の人材、として

確保したのである。


だが、王鎮悪が殺されてしまうと、

状況は一変。中原は一気にきな臭くなった。

が、王康は素早く逃れていたため、

殺されずに済んだ。


洛陽らくようから彭城に脱出、

そこで改めて劉裕に帰属。


劉裕はここで王康を、

仮に直属の参謀として取り立てた。




鎮惡弟康,留關中,及高祖北伐,鎮惡為前鋒,康逃匿田舍。鎮惡次潼關,康將家奔之,高祖板為彭城公前將軍行參軍。鎮惡被害,康逃藏得免,攜家出洛陽,到彭城,歸高祖。即以康為相國行參軍。


鎮惡が弟の康は關中に留まり、高祖の北伐せるに及び、鎮惡を前鋒と為さば、康は逃れ田舍に匿る。鎮惡の潼關に次せるに、康は家を將い之に奔り、高祖は板じて彭城公前將軍行參軍に為す。鎮惡の害さるを被るに、康は逃げ藏れ免ぜるを得、家を攜いて洛陽を出で、彭城に到らば、高祖に歸す。即ち康を以て相國行參軍と為す。

(宋書45-14_寵礼)




王康

あれだけ盛大に殺されまくった王鎮悪ブラザーズはいったい何人いたんだという感じである。このエピソードでは逃げまくりな感じなのだけれど、次のエピソードには確かな気骨を感じます。結構面白そうな人ではあるんだよなあ。

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