王鎮悪13 劉裕の上表  

王鎮悪おうちんあくの死に際し、劉裕りゅうゆう

以下のように安帝に上表している。



いまは亡き王鎮悪は忠誠心にあふれ、

はかりごとに長けておりました。


もと任じられていた地では

著しい治績を上げておりました。


劉毅りゅうき荊州けいしゅう

地の利を生かして反乱を企むと、

王鎮悪は軽船にて乗り込み、

瞬く間に劉毅を打ち払っております。


後秦こうしん討伐に際しても、真っ先に

洛陽らくように乗り込み、一帯を制圧。


長安ちょうあんに向かう際にも先陣を切り、

単独で長安を制圧、姚泓ようおうを捕縛。

これは国を挙げて讃えるべき壮挙です。


赫連勃勃かくれんぼつぼつ軍が

北の地を荒らした際にも、

軍を率いてこれを撃退。


かの者を追撃しようとしたところで

いまは亡き沈田子しんでんしが発狂し、

王鎮悪はかれに殺されてしまいました。


かれが生きておれば更なる功績を

挙げてくれたことでしょうが、

意図せぬ災いにより、帰らぬ人に。

痛ましく、口惜しきこと、

言葉では言い尽くせません。


陛下に於かれましても、どうか彼の

比類なき忠勲が失われましたること、

胸にお留めおきくださいますよう。


なお狂った沈田子につきましては、

既に裁きを終えております

これ以上追及をなさいませぬよう。


王鎮悪の被った艱難は実に著しきもの。

その功績は誰よりも高かれど、

未だそれは報いられてはおりません。

どうかかれの霊廟に、

褒賞を賜りますようお願い申し上げます。



劉裕が皇帝になると、

王鎮悪を「壯侯」と諡した。


また劉裕の死後には、

その墓に王鎮悪もあわせて祀られた。




高祖表曰:「故安西司馬、征虜將軍王鎮惡,志節亮直,機略明舉。自策名州府,屢著誠績。荊南遘釁,勢據上流,難興強藩,憂兼內侮。鎮惡輕舟先邁,神兵電臨,旰食之虞,一朝霧散。及王師西伐,有事中原,長驅洛陽,肅清湖、陝。入渭之捷,指麾無前,遂廓定咸陽,俘執偽后,克成之效,莫與為疇,實捍城所寄,國之方召也。近北虜游魂,寇掠渭北,統率眾軍,曜威撲討。賊既還奔,還次涇上,故龍驤將軍沈田子忽發狂易,奄加刃害,忠勳未究,受禍不圖,痛惜兼至,惋悼無已,伏惟聖懷,為之傷惻。田子狂悖,即已備憲。鎮惡誠著艱難,勳參前烈,殊績未酬,宜蒙追寵,願敕有司議其褒贈。」高祖受命,諡曰壯侯。配食高祖廟廷。

(宋書45-13_傷逝)




上表文はどうも訓読する気になれぬのですよ……すまぬ、すまぬ……

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