謝晦9 なお迷い、惑う
いわく「やべぇよ兄貴、マジやべぇ!」。
が、謝晦。一笑に付す。
謝晦、側近の
「傅亮様はまた、ずいぶんと
思い煩っておられるようだな?
なぁに、
明日か明後日には来るだろうよ。
おれが
あの方は気に食わんようだな」
太平楽な謝晦に対し、
何承天は言う。
「ちまたでは、誰もが陛下の西府討伐を
規定事項であるかのよう語っている、
と聞いております。
ならば萬幼宗が、どうしてわざわざ
長江を遡ってくるでしょうか?」
あー、わかったわかった、
この心配性☆ さんめ☆
謝晦、何承天の懸念には取り合わず、
表明に応えるための手紙を、
何承天に書かせた。
いえーい陛下!
来年! 来年ぶちかましましょう!
とか、そんな感じだ。
が、そこに水を差す、一通の手紙。
差出人は
バリバリの
その手紙にいう。
「
陛下が謝晦様を始めとした皆さまを
殺し尽くしたい、と
お考えでいらっしゃるのは、確定です」
その手紙を持ってきたのは、
程道恵の側近である。
そして、かれが持ってきた手紙に
押し付けられてあった封印は、
確かに、程道恵のものだ。
だが、それでも謝晦は、言う。
「ま、まだ萬幼宗は来ていない。
あ、あと二、三日のうちに来なければ、
そこで初めて、
態度を確定すればよいのではないか?」
はぁ。
バカかよこいつ。
そんな思いは一切おくびにも出さず、
何承天は言う。
「謝晦様、よくよくご検討ください。
陛下が敢えて謝晦様に、
諮問の使者を送る理由は、
ほぼ、ありません。
事態はすでに、程道恵殿が
ご指摘なさった通りの流れ。
今更かれを疑ったところで、
なんのメリットがあるのでしょうか?」
三年正月,晦弟黃門侍郎皭馳使告晦,晦猶謂不然,呼諮議參軍何承天,示以亮書,曰:「計幼宗一二日必至,傅公慮我好事,故先遣此書。」承天曰:「外間所聞,咸謂西討已定,幼宗豈有上理。」晦尚謂虛妄,使承天豫立答詔啟草,伐虜宜須明年。江夏內史程道惠得尋陽人書,言:「朝廷將有大處分,其事已審。」使其輔國府中兵參軍樂冏封以示晦。晦又謂承天曰:「幼宗尚未至,若復二三日無消息,便是不復來邪?」承天答曰:「詔使本無來理,如程所說,其事已判,豈容復疑。」
三年の正月、晦の弟の黃門侍郎の皭は使を馳せ晦に告がしめ、晦は猶お然らざりたりと謂え、諮議參軍の何承天を呼び、以て亮が書を示し、曰く:「計るに幼宗は一、二日にして必ずや至らん、傅公は我が好事を慮り、故に先に此の書を遣わしたり」と。承天は曰く:「外間に聞きたる所、咸な西討の已に定まりたるを謂いたり、幼宗に豈に上理有らんや?」と。晦は尚お虛妄と謂い、承天をして答詔が啟草を豫立せしめ、虜を伐たんと宜しく明年に須めんとす。江夏內史の程道惠は尋陽人が書を得、言えらく:「朝廷に將に大處分有らん、其の事は已に審らかなり」と。其の輔國府中兵參軍の樂冏は封を以て晦に示す。晦は又た承天に謂いて曰く:「幼宗の尚お未だ至らざるに、若し復た二、三日の消息無くば、便ち是れ復た來たらざらんや?」と。承天は答えて曰く:「詔使に本より來たる理無し、程の說きたる所の如きなれば、其の事已にして判ぜられん、豈に復た疑いたるを容れんや?」と。
(宋書44-9_紕漏)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます