謝晦5  西府に出向   

劉義符りゅうぎふが即位すると、謝晦しゃかい

徐羨之じょせんし傅亮ふりょうと共にサポートについた。

が、間もなく廃立、殺害。


劉義隆りゅうぎりゅうの即位後間もなく、徐羨之は謝晦を

けいしょうようえきねい南北秦なんぼくしん七州軍事

の、総督につけた。

いわば西府せいふ軍の長である。


建康けんこうの外に謝晦を出すことで、

いざ劉義隆が徐羨之以外を

重用しはじめた時に、

牽制勢力として謝晦が存在できるよう

計画したのだ。


同じ憂慮は、当然謝晦も抱いていた。

そのため一も二もなく、この叙任を受諾。


名将、精兵を従え、多くの軍備を配し。

謝晦出立の日が近づく。


謝晦ははじめ劉義隆がこの出立を

認めないのではないかと憂苦していたが、

新亭しんていの港を出発し、石頭せきとう城を望み、

ようやく狂喜した。


「やった、脱出できたぞ!」




少帝即位,與羨之,亮共輔朝政。少帝既廢,司空徐羨之錄詔命,以晦行都督荊、湘、雍、益、寧、南、北秦七州諸軍事、撫軍將軍、領護南蠻校尉、荊州刺史,欲令居外為援,慮太祖至或別用人,故遽有此授。精兵舊將,悉以配之,器仗軍資甚盛。太祖即位,晦慮不得去,甚憂惶,及發新亭,顧望石頭城,喜曰:「今得脫矣。」


少帝の即位せるに、羨之,亮と共に朝政を輔す。少帝の既にして廢さらば、司空の徐羨之は錄して詔命し、晦を以て都督荊、湘、雍、益、寧、南、北秦七州諸軍事、撫軍將軍、領護南蠻校尉、荊州刺史に行ぜしめ、外に居し援を為さしめんと欲し、太祖の至りて或いは別に人を用うるを慮らば、故より遽り此を授くる有り。精兵舊將、悉きを以て之に配し、器仗、軍資は甚だ盛んなり。太祖の即位せるに、晦は去りたるを得ざらんことを慮り、甚だ憂惶せど、新亭を發せるに及び、石頭城を顧望し、喜びて曰く:「今ま脫せるを得たり!」と。

(宋書44-5_仇隟)




この一連の流れから読み取れるのは、劉義隆即位の段階では徐羨之をまるで制御できなかった、という事ですね。謝晦を西府=江陵に出せたのって、そう言う意味では鬼手だった気がする。問題はその後の劉義隆の根回しが速かったことか、あるいはアンチ徐羨之勢力による協力が相当に強烈だったか。


徐羨之たちって、言ってみりゃ「あの劉裕りゅうゆうが残してった武断の根っこ」なわけだよね。既存の貴族勢力としてはどうにかして取り除きたいものだったんじゃないかって思う。その辺のながれを、宋書という狭い観測範囲の中でどれだけ探れるか。いやそう思うなら前後の時代の歴史も漁れよって話ですよね。まぁ「劉裕」が終わったらね?

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