五行2  没落ムーヴ   

司馬道子しばどうしは後漢の時代の

霊帝れいていのような遊びをしていた。


自らが構える府の北部の庭園に

きらびやかな天幕を構え、

そこで妓女らと遊ぶ時には

自ら酒売り人のごとく振る舞い、

連日連夜のどんちゃん騒ぎ。


酔いにあかせて、

その辺で寝入ったりもしていた。


占い師の幹寶かんほうはこう評価している。


「貴人がこういう振る舞いをしていれば、

 本当に庶人に落ちるだろう」


のちに司馬道子が死亡すると、

司馬道子の家は王位を廃され、

庶人におとされた。



桓玄かんげんが簒奪して後のこと。


玉座の後ろには、

贅をつくしたカーテンが掛けられていた。


 ど派手に真っ赤、

 黄金が模様にちりばめられ、

 四本の角の金の龍は、

 五色の羽葆をくわえ、

 蘇を流していた。


……うん、とりあえず派手だったようだ。


なので家臣たちはそれを見て

「よくもまーああも

 下品さを集約できたもんだ」

とひそかに語っていた。


のちのことを考えれば、桓玄は

このカーテンを作らせたことにより、

自ら破滅を招いた、とも言える。


これを服妖、と呼んでいる。



晋の末期、宮中では、冠を小さくし、

衣服についてはだぼだぼのものを

着るのがトレンドになっていた。


歴史を知っている人が言っている。

「こう言う流行が発生するのは、

 皇帝の姓が変わる兆しだ」

と。


実際、劉裕りゅうゆうが即位してから、

再び冠は大きくなっている。




晉司馬道子於府北園內為酒钅盧列肆,使姬人酤鬻酒肴,如裨販者,數遊其中,身自巘易,因醉寓寢,動連日夜。漢靈帝嘗若此。幹寶以為:「君將失位,降在皁隸之象也。」道子卒見廢徙,以庶人終。桓玄篡立,殿上施絳綾帳,鏤黃金為顏,四角金龍,銜五色羽葆流蘇。群下竊相謂曰:「頗類蒐車。」此服妖也。晉末皆冠小冠,而衣裳博大,風流相仿,輿台成俗,識者曰:「此禪代之象也。」永初以後,冠還大雲。


晉の司馬道子は府の北園內にて酒を為し、钅盧を列肆せば、姬人をして酒肴を酤鬻せしむこと裨の販者が如くし、數しば其の中にて遊び、身を自ら巘易し、醉に因いて寓にて寢、動き連なりたること日夜なり。漢の靈帝も嘗て此くの若し。幹寶は以為えらく:「君將の位を失いたること、降りて皁隸象に在りたるなり」と。道子の卒せるを見たるに廢徙せられ、以て庶人として終す。桓玄の篡立せるに、殿上に絳綾の帳を施したれば、黃金を鏤めて顏と為し、四なる角の金龍にては、五色の羽葆を銜え蘇を流す。群下は竊かに相い謂いて曰く:「頗類蒐車なり」と。此れ服妖なり。晉末にては、皆な小さき冠を冠ぜど、衣裳は博大にして、風流なるを相い仿ねるに、輿台の俗の成りたれば、識者は曰く:「此れ禪代の象なり」と。永初以後、冠は大雲なるに還る。

(宋書30-2_術解)




うん、すがすがしいほど意味が取れないな!

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