劉裕48 亡命者糾弾   

しん建康けんこうに移って以来、

政治の規範は大いに緩み、

豪族は荘園を次々に併呑、

家門を肥え太らせてきた。


そのため貧困の差は激しくなり、

庶民たちは住まうべきところを失い、

まともな職にもありつけずにいた。


桓玄かんげんもこの事態を改善をしようとは

考えていたのだが、果たせずにいた。


だが、これらを劉裕りゅうゆうは一手に引き受ける。


規範を広く知らしめたため、

我が物顔であった豪族たちは粛然とし、

晋国内の全土にルールが行き渡る。



一方、「正しいルール」が行き渡ると、

既得権益にありついていた者たちは

行き場を失ってしまう。


会稽かいけい餘姚よちょう県のひと、虞亮ぐりょうは、

そうした人たちを千人余り匿っていた。


そう言う人間を

野放しにするわけにはいかない。

劉裕、虞亮を捕え、斬首。


また虞亮の振る舞いを見逃していた

会稽郡の長官、司馬休之しばきゅうし

免職処分とした。




晉自中興以來,治綱大弛,權門并兼,強弱相凌,百姓流離,不得保其產業。桓玄頗欲釐改,竟不能行。公既作輔,大示軌則,豪強肅然,遠近知禁。至是會稽餘姚虞亮復藏匿亡命千餘人。公誅亮,免會稽內史司馬休之。


晉の中興より以て來たりて、治綱は大いに弛み、權門は并兼し、強弱は相い凌ぎて、百姓は流離し、其の產業を保ち得ず。桓玄は頗る釐なるを改めんと欲せど、竟には行う能わず。公の既に輔せるを作したるに、大いに軌則を示したれば、豪強は肅然とし、遠近は禁ぜらるるを知る。是れに至りて會稽の餘姚の虞亮は復た亡命千餘人を藏匿す。公は亮を誅し、會稽內史の司馬休之を免ず。


(宋書2-3_黜免)




虞亮

同じ會稽餘姚人の虞嘯父辺りと絡む人なのかなーとは思うのだが、未詳。まー既得権益側の人っぽい。


司馬休之

のちに劉裕と対決することになる人。そこを踏まえると、この処分は劉裕の司馬休之への牽制のように見えなくもない。

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