劉裕44 遠望2
追撃をかけてきた
戦艦は連なり、方陣を組み、
見渡す限りの大艦隊。
この巨大船団に対し、
劉裕は小回りの利く中級船で応戦した。
船に乗り、自ら戦鼓を叩き、鼓舞する。
また一方では
火計の準備をさせていた。
戦闘が始まる。
出撃する劉裕軍、が、その中にあって
乗った船が動こうとしない。
劉裕、庾楽生の船に乗り込むと、
庾楽生を斬り捨てる!
そして、見せしめとした。
「攻めなかったら、お前らもこうなるぞ」
と言う訳だ。
そのため劉裕軍の船団は、
我先にと敵艦に攻めかかって行った。
また、これら船団にはそれぞれ、
激烈な張力の巨大弩が配備されていた。
この弩から放たれた箭が、
五斗米道軍の船に
次々と大穴を開けていく。
怯んだ五斗米道軍に対し、
さらに圧力をかけていく劉裕。
おりしも東からの風が吹き、
水流、風の力で、五斗米道軍を
西に押し流し始めた。
西。
劉裕が、あらかじめ湾岸に
兵士を配備させていたところだ。
流れてきた船に対し、
待ってましたとばかりに
火を投げ込めば、瞬く間に火の海。
空一面を煙が覆い、
総崩れになった五斗米道軍、
劉裕は夜がふけるまで、追撃。
ところで陸地に回された兵士たちは、
はじめその命令の意図を
さっぱりつかめず、不満たらたらだった。
が、始まってみれば、この大戦果。
劉裕のこの采配にみな大喜びし、
感服するのだった。
循、道覆率眾數萬,方艦而下,前後相抗,莫見舳艫之際。公悉出輕利鬭艦,躬提幡鼓,命眾軍齊力擊之。又上步騎於西岸。右軍參軍庾樂生乘艦不進,斬而徇之。於是眾軍並踊騰爭先。軍中多萬鈞神弩,所至莫不摧陷。公中流蹙之,因風水之勢,賊艦悉泊西岸。岸上軍先備火具,乃投火焚之,煙爓張天,賊眾大敗,追奔至夜乃歸。循等還尋陽。初分遣步軍,莫不疑怪,及燒賊艦,眾乃悅服。
循、道覆は眾數萬を率い、方艦して下り、前後の相い抗さば、舳艫に際の見ゆる莫し。公は悉くの輕利鬭艦を出だし、躬づから幡鼓を提げ、眾軍に力を齊くし之を擊たんと命ず。又た步騎をして西岸に上らせしむ。右軍參軍の庾樂生は艦に乘らねど進まず、斬りて之を徇わしむ。是れに於いて眾軍は並べて先を爭い踊騰す。軍中には萬鈞神弩多く、至る所にて摧陷せざる莫し。公は中流にて之に蹙り、風水の勢に因り、賊艦は悉く西岸に泊す。岸上の軍は先んじて火具を備え、乃ち火を投じて之を焚き、煙爓は天を張り、賊眾を大いに敗り、追奔し夜に至りて乃ち歸す。循等は尋陽に還ず。初、分け遣ぜらる步軍に、疑い怪しまざる莫かれど、賊艦を燒きたるに及び、眾は乃ち悅び服す。
(宋書1-43_妙計)
庾楽生
当然のように潁川庾氏、つまり庾亮に連なる人物だろう。こう言う人でも平然と斬っちゃってる辺り、色々ヤバい。
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