劉裕19 その兵速銳なり 

桓玄かんげん桓謙かんけん卞範之べんはんしらを招集し、

どう劉裕りゅうゆうを防ぐかを協議した。


桓謙らは

「速やかに派兵して攻めるべきです」

と言ったが、桓玄は言う。


「駄目だ。劉裕軍は精強だ。

 打って出れば万余が死ぬことになる。

 また、もし水軍を派兵すれば、

 ろくに抵抗もかなわず、

 壊走させられるだろう。


 そうして劉裕の軍は勢いづき、

 我々のはかりごとは

 打ち砕かれることになる。


 覆舟山ふくしゅうざんに大軍を配し、

 劉裕の軍を待ち受けるに越したことはない。

 二百里をただ行軍させ、その鋭気をくじき、

 そこに突然大軍が現れる、

 と言うのであれば、

 驚懼駭愕すること確実であろう。


 余は堅固な陣を敷き、交戦せず、

 戦いを挑まれたら散開するよう仕向ける。

 これが上計である。」


しかし桓謙らがしきりに要請をかけたので、

呉甫之ごほし、および皇甫敷こうほふ

劉裕軍を防ぐため進軍した。




桓謙、卞範之らを召し高祖を拒むべく謀る。謙らは曰く:「亟やかに兵を遣りて之を擊たしむべし」と。玄は曰く:「然らず。彼の兵は速く銳かれば、計りて出づらば萬が死せん。若し行きて水軍を遣らば、相い抗すに足らず、如し蹉跌有らば、則ち彼の氣成りて吾ら事敗れん。大眾を覆舟山に屯じ以て之を待つに如かず。彼れ空しく二百里を行きて、手の措く所無からば、銳氣も已に挫け、既に至るに、忽まち大軍を見らば、必ずや驚懼駭愕せん。我れ兵に案じ陣を堅め、交鋒を與う勿れ、彼れ戰を求めど得ざらば、自ずと然りて散走せん。此れ計の上なり」と。謙らの固く請うに、乃ち頓丘太守の吳甫之、右衞將軍の皇甫敷を遣りて北に義軍を拒ましむ。


(宋書1-19_識鑒)




この辺のコメントは、

「あっという間に片がついた」

という結末からの逆引きな印象もある。


まぁ、この辺に疑いの目を

向けてみたところで、

意味はないんですけどね。


桓玄がザコなのが気に食わない、という、

完全に私怨からの分析だからなぁー。


いやね、宋書って

「桓玄を倒して晋を守った大英雄だからこそ

 劉裕は皇統を継承するに足る」

ってロジックになってるんですよ。


なのに大ボスの桓玄がザコなの。

ひどくない?


(偏向報道)

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