劉裕18 クーデター露見 

クーデター決行の数日前、

劉毅りゅうきの兄、劉邁りゅうまい、と言う人が

建康けんこうに滞在していた。


劉裕りゅうゆう周安穆しゅうあんぼくを使者として、

劉邁にクーデターの決行を報せ、

あわせて劉邁には内応の依頼をした。


劉邁、表向きは快諾したのだが、

その実、ひどく怯えていた。


その様子が周安穆にも

ありありと見て取れたのだろう、

これは劉邁から洩れてしまうと察知、

すぐさま京口けいこうに引き返した。


この頃、桓玄かんげんは劉邁を

竟陵きょうりょう太守に任じようと思っていた。

そのため船で建康に向かっていた。

無論そんなことを、

劉邁が知るはずもない。


建康近くにまで到着したところで、

桓玄、先に劉邁に宛てた

手紙をしたためる。


「北府軍の情勢は

 どのような感じだろうか。


 ところでお前はここ最近、

 どこかで劉裕を見かけたかね?」


桓玄にしてみれば

天気を聞いたような気持である。


っが、劉邁にとっては、違う。

「えっ桓玄様全部お見通し!?」

ってビビった。めっちゃビビった。


翌日、桓玄が建康に到着。

劉邁、慌てふためいて

桓玄のもとに駆け付け、

クーデター計画のこと、

洗いざらいぶちまける。


「ファッ!!?

 り、劉邁、よく知らせてくれた!」


桓玄、いったんはクーデター計画を

報せてくれた功績に応じ、

劉邁を重安じゅうあん侯につけた。


しかし、話を聞いてみれば

ことを伝えてきた周安穆は

既に逃亡済みだと言う。


バッカじゃねえのお前!

捕まえとけよそう言う生き証人は!


知らせるだけ知らせては来たものの、

状況打開の手は何一つ打っていない。

桓玄、劉邁のこの無能さを嫌い、

処刑した。


また周安穆、誰が建康で決起するかを

劉邁にも伝えていたようだ。


間もなくクーデター決行者であった

王睿おうえい辛扈興しんこきょう童厚之どうこうしらも

捕まり、殺された。




毅兄邁先在京師,事未發數日,高祖遣同謀周安穆報之,使為內應。邁外雖酬許,內甚震懼。安穆見其惶駭,慮事必泄,乃馳歸。時玄以邁為竟陵太守,邁不知所為,便下船欲之郡。是夜,玄與邁書曰:「北府人情云何?卿近見劉裕何所道?」邁謂玄已知其謀,晨起白之。玄驚懼,封邁為重安侯;既而嫌邁不執安穆,使得逃去,乃殺之。誅元德、扈興、厚之等。


毅の兄の邁は先に京師に在り、事の未だ發せざること數日、高祖は謀を同じうせる周安穆を遣りて之を報さしめ、內應を為さしめんとす。邁は外には酬許せると雖も、內にては甚だ震懼す。安穆は其の惶駭せるを見、事の必ずや泄れたらんことを慮り、乃ち馳せ歸る。時に玄は邁を以て竟陵太守と為さんとし、邁は知る所と為さず、便ちにて船にて下りて郡に之かんと欲す。是の夜,玄は邁に書を與えて曰く:「北府の人情は云何? 卿は近きに劉裕の何こに道せる所を見たらんか?」と。邁は玄の已にして其の謀を知りたると謂え、晨に起きては之を白う。玄は驚懼し、邁を封じて重安侯と為せど、既にして嫌邁の安穆を執らえず、逃去し得さしむるを嫌み、乃ち之を殺す。元德、扈興、厚之らを誅す。


(宋書1-18_紕漏)




うーん、劉邁が状況打開のために

大した動きを取ってないのと同じように、

周安穆も、そう思うなら

王睿たちに伝えろよ感。


このあと周安穆の名前全然出て来ないし、

まぁ、そう言う事なんでしょうね。



劉邁

劉毅の兄。クーデターに参加しようと思ったが日和った。そのせいで桓玄に憎まれ、殺された。

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