劉裕17 京口占拠    

クーデター軍が京口けいこうの城を

占拠したところに、

桓脩かんしゅうの副官である刁弘ちょうこう

部下たちを引き連れて到着した。


劉裕りゅうゆうは城壁から刁弘らを睥睨し、言う。


郭昶之かくちょうし殿が既に帝を復させるため、

 尋陽じんように迎えに行っている。


 我らは帝より密かに詔を受け、

 逆賊を誅滅せん、とし、

 一斉に立ち上がった。


 逆賊桓玄かんげんの首も斬られ、

 間もなく港に晒されるだろう。


 お前たちは大いなるしん

 臣ではなかったはずだな。


 今更おめおめと顔を出して、

 何をしようと思った?」


いやまだ倒すも倒さないも

ないですやん。


しかし劉裕のそんな虚言を、

刁弘たち、あっさりと信じ、

すごすごと退散。


そこに広陵こうりょうから劉毅りゅうきたちが到着したので、

劉毅たちに刁弘を討つよう命令した。




義軍初剋京城,脩司馬刁弘率文武佐吏來赴。高祖登城謂之曰:「郭江州已奉乘輿反正於尋陽,我等並被密詔,誅除逆黨,同會今日。賊玄之首,已當梟於大航矣。諸君非大晉之臣乎,今來欲何為?」弘等信之,收眾而退。毅既至,高祖命誅弘。


義軍の初に京城を剋せるに、脩の司馬の刁弘は文武佐吏を率いて來赴す。高祖は城に登りて之に謂いて曰く:「郭江州は已にして奉じ、乘輿し尋陽にて反正す、我ら並べて密詔を被り、逆黨を誅除せんと、同じく今日に會す。賊の玄の首、已にして當に梟され大航せんとす。諸君は大晉の臣に非ざるや、今來たりて何を為さんと欲せりや?」と。弘等は之を信じ、眾を收め退く。毅の既に至るれば、高祖は弘を誅せるを命ず。


(宋書1-17_仮譎)




ほんに劉裕さんハッタリ大王……


刁弘

京口で金稼ぎに邁進していた刁氏三兄弟(逵、暢、弘)の末っ子。劉毅に追撃を受けたその後の消息は不明。


帝(安帝)

精神薄弱だった、と言う事ですが、いやーでも詔を見る限り文才には優れてたんですね(スットボケ)。いいように利用された人ではある。


郭昶之

劉裕のハッタリでは劉裕に与したように言われているが、実のところ桓玄シンパ。逃亡する桓玄を手助けした。


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