劉裕6  戦慣れせぬ呉人 

劉裕りゅうゆうの武勇に勇気づけられた

海塩かいえんの長官、鮑陋ほうろう


かれは息子の鮑嗣之ほうしし

地元民で編成された千人余りの兵士を託し、

しん軍の先駆けに志願させた。


劉裕はこれを断り、言う。


「反乱軍の強さを甘く見るな。


 この辺りの者たちは

 戦慣れしておらんだろう。


 そんな奴らを前線に出して

 反乱軍に潰されてみろ。


 奴らは勢いづき、俺たちは負ける。


 いいから、お前たちは後方で

 応援だけしててくれればいい」


だいぶきっつい言い回しである。

後方支援としてすら要らない、

と言い切ったのだ。


そんな言い方をされて、そうですか、と

鮑嗣之が引きさがれるはずもない。


翌日、五斗米道軍は一万以上の

軍勢を率いて迎撃してきたが、

劉裕の計略にハマり、後退。


功名心に浮ついた鮑嗣之は

五斗米道軍を追ったが、

あっさり返り討ちにされてしまった。




海鹽令鮑陋遣子嗣之以吳兵一千,請為前驅。高祖曰:「賊兵甚精,吳人不習戰,若前驅失利,必敗我軍。可在後為聲援。」不從。明日,賊率眾萬餘迎戰。賊乃退。嗣之追奔,為賊所沒。


海鹽令の鮑陋は子の嗣之を遣り、吳兵一千を以て為前驅を為さんと請わしむ。高祖は曰く:「賊が兵は甚だ精かれど、吳人は戰を習わざれば、若し前驅の利を失わば、必ずや我が軍は敗れん。後に在りて聲援を為すべし」と。從わず。明くる日、賊は萬餘の眾を率い、迎え戰う。賊は乃ち退く。嗣之は追うて奔り、賊に沒せる所と為る。


(宋書1-6_規箴)




劉裕さん、

言い方、言い方ー!!!!!!


鮑陋

海塩の太守。何となく海塩で息子を喪ったことについて、劉裕を恨んでる気配がある。


鮑嗣之

海塩の人。無謀。

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