薔薇の石
安良巻祐介
紅い、血のような色をした、一固まりの石が、僕の手の中にある。
それは花弁を重ねたような形をしていて、こころなしか、淡い香気を放っている。
日が落ちた後、暗い通りでぼんやりとした街灯の光の下に立つ時、この石は花弁の間に幾つもの不思議な影を作って、僕の心の中の、ある種の神秘性を表現する。
ふところに石を隠して、僕はまた、歩いてゆく。
この小さな秘密が、僕を僕として生かしているもののひとつである。
薔薇の石 安良巻祐介 @aramaki88
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