開幕
いつからか忘れた
知らぬ内に倉庫にいた
一枚の毛布
一杯のご飯
一杯の水
怒号と蔑みと暴力
知らない人
学校とはなんだっけ
隙間からにゃーにゃーが入ってきた
ぼんやりする頭で顔以外を毛布で覆う
そのにゃーにゃーは尾が二つ
他のにゃーにゃーは尾が一つ
三匹
床に寝転がれば腹の傍でにゃーにゃーは寝た
とくとくと音が聞こえ痛みがなくなる
明日も頬も手も背中も足も痛くなる
夜にはにゃーにゃーがやってくる
ある日、にゃーにゃーが来ない
分からないけれど目を瞑って、扉が開くまで待つ
ガラガラと音がなる 扉を開ける音
眩しくて 手で目を覆う
にゃあにゃあ声がする ふぎゃふぎゃと声がする
ぎゃあぎゃあ、ぎーぎー音がする
逆光で見えないけれど天井から何かが吊るされている
ぼたぼた、ぱたぱた、べちゃべちゃ
ご飯との間に吊るされたソレの下を通り、入り口まで行く
ぶにぶに柔らかいものを踏んだ
少し経って倉庫の中は怪我をした時と同じ血の臭いで充満した
そして鼻が壊れそうな気持ち悪くなる臭いがした
少し経って、また何かが吊るされた
今度は小さい何かが吊るされた
吊るした『おかあさん』が言う
「お前のせいだよ」と
一月、冬 朶骸なくす @sagamisayrow
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