最終章:エンターテイメント

 春日武藤は圧倒されながら、思う。

 あの時、死の間際に感じた違いはこれだったのだ、と。

 戦うことで満ち足りる、それが己の性質なればこの男を前に勝てるはずがなかった。勝利への渇望、何が彼を急き立てるのか勝利、生存への執念が尋常ではない。そういう人間自体珍しいものではないし、動物が持つ本能ではあるだろう。

 だが、それと同時に今この時、この瞬間のように死と隣り合う領域に足を踏み入れるのは、矛盾している。ゆえに彼のそれは本能ではない。

 本能とは別のモノが彼の骨子。

 葛城善の背骨。

 彼が立ち上がり続けるための柱。

 別の本能で塗り潰している己とも違う。違うのだ。

『まだ、だァ!』

 遮二無二、無様であっても無理やりタケフジはゼンとの距離をこじ開けた。蓄積するダメージはすでに芯まで侵している。もはや長くは戦えない。

 ただしそれは、付け焼刃でブーストしているあちらも同じこと。

『時は来た』

 タケフジは手を掲げ、全戦力を呼ぶ。

『貴様が何を背負おうが、俺と異なろうが、俺は俺の、力に殉じる!』

 天より降り注ぐ、黄金の雷。

『ただ、ねじ伏せる! 布都御魂剣ィ!』

 黄金の雷が剣の形をとる。巨大で、膨大な魔力の塊。

『気づいているか? マナが、相当濃くなっていることに』

「……そこまでする意味が、あるのか」

 大気中の魔力、マナが彼らの戦いに引き寄せられ、この世界においては尋常ではない濃度となっていた。下手をすれば、局所的にはあの時代に近いところまで到達しているかもしれない。それほどに今、この二人は世界の中で抜けている。

 魔力がわき目も振らずここに集うとは、そういうこと。

 つまり、今のタケフジ、王クラスの全戦力をこの場で開放すれば、ちょっとした避難など意味を成さない破壊規模となる。タケフジはたった一手でゼンの選択肢を根こそぎ奪ったのだ。避けるな、逃げるな。本体を狙って討ち果たしても力は残り、主を失ったそれは暴発し、同じ結末を辿る。

 小細工無し、正面で相殺せぬ限り――

 タケフジは無言でゆるりと移動し、無人の山を背にする。

 これで選択肢は二つ、相殺するか、圧倒するか。

『さあ、決着だ!』

「……いいだろう」

 ゼンもまた想像する。今、自分がすべきことを、そのための武器を、頭の中で思い浮かべる。想像し、創造する。

『この俺を、ねじ伏せてみろォ!』

「悪いが、それほど俺は器用じゃないし、お前の望みを叶えてやるほど、お人好しでもない! 取るのは、第三の選択肢だ!」

 布都御魂剣、王として覚醒したタケフジが持てる全てを賭した一撃である。その巨大さ、重さは凄まじいものがある。それを伝導するマナもある。

 ゆえに、逃げる選択肢はない。

 だが、死にたがりの馬鹿のために手を汚す気も、無い。

「テリオンの七つ牙が二つ」

 ゼンはタケフジが振るった破壊に両手をかざす。

「テリオス、アルクス」

 魔を阻む鎧と盾が顕現する。

 そして、それをゼンは併せた。対魔素における最高クラスの耐性を持つ武具、二つ。互いの特性がぶつかり合い、せめぎ合い、融け合う。

「キール・カルナイン!」

 そこに現れたるは、神話の時代に絶えたはずの神族が築いた鉄の壁。それはあらゆる魔を防ぎ、滅びを、災厄を、絶望を、暴力を、阻み神々の砦を守った。

 金色の美しき壁である。

 この場で知る者は存在しないが、当時のものに比べると全体的に無骨な造りであり、あくまで葛城善の作であることがわかる。

『この期に及んで、こんなものでェェェエエ!』

 終わらせる気がなかった男に対し、怒りにも似た感情を覚えるタケフジ。それらは全て、攻撃に込める。こんな壁一枚、打ち壊して見せる。

 この戦いの結末に泥を塗った男にほえ面かかせねばならない。

『砕け、散れェ!』

「悪意無く、害意無く、ただ、終わりを求める。そんな弱い奴の攻撃など、届きはしない! 今のお前では絶対に、俺には届かない!」

『ほざけェェェエエエ!』

 荒れ狂う魔力の暴走、それを受け止めなお黄金の壁は揺らがない。

「お前の望みは叶わない」

 破壊の奔流はただ、壁に阻まれ天に帰っていくだけ。

『俺は――』

 愕然とするタケフジ。

 しかし、無情にも彼が全てを込めた一撃は壁に阻まれ、消える。

「死にたければ自分で死ね。誰かに殺してもらいたい、終わらせてもらいたいなど、手前勝手が過ぎる。甘えるな!」

 全戦力を使い果たしたタケフジをゼンはアイオーニオンで拘束する。消耗しきった魔族を捕まえるには過剰な性能であった。

「なんだ、この、終わりは。これが、俺の」

「終わりだとお前が思えばそうだ。だが、ここからは長いぞ。一日、一時間が果てしなく感じる。無為に生きるのもまた、地獄だ」

 地に這いつくばるタケフジは歯噛みする。

「何より俺たちが数十年やそこらで死ねると思うなよ」

「……ッ」

 絶望に満ちたタケフジの眼を見て、ゼンはふと思った。自分に似ているのは当然として、あの男にも似ていると思ったのだ。愉悦に歪んだ最悪の敵、しかしなぜか、その愉悦こそが彼にとっての絶望なのではないのかと、思った。

 真逆、あべこべ、素振りは皆無。それでも何故かしっくりきた。

「……逃げたくないんだろ」

「…………」

「なら、気を紛らわせるしかない。別のことをしてな」

「……別のこと、だと」

「俺は人助けをすることにした。俺がそう決めた。それが一番気が紛れて、楽だから。それだけだ。今日俺がここにいるのも、気を紛らわせるため、だな」

「なんだその、ふざけた理由は……人助けなど、くく、食い扶持にはならん。これから多少世の中荒れるかもしれんが、所詮は一時のこと。すぐに貴様は役割を失う。食えなくなっても貴様は、堂々とそう言い切れるか?」

 ゼンはぽかんとして首を傾げる。

「オーガ種はそんなに腹が減るのか? 俺は同じ鬼種のオークだけど、数週間食わなくても問題ないぞ。知り合いに何千年もモノを食ってない魔族もいたし」

「……いや、そういう話じゃ」

「街はその辺に食品が落ちているし、必要なら山に入れば何でもある。食うには困らん。だから、見返りも必要ない。そういう話じゃないのか?」

「……山も私有地、いや、なんでもない。くく、なんだ、俺は、こんなのに負けたのかよ。くっく、くっはっはっはっはっは。無様極まる」

 この男は一人で完結している。君臨すれども一人になる道を選べず、彼らのためにも離れる道も選べず、こうして無様に醜態をさらす己とは違う。

 一人でもズンズン歩いて行く強さがある。

 決めたことを真っ直ぐに歩く強さもある。

 迷い、惑い、半端な答えを出した自分とは違って――

「……殺さんのか?」

「ああ」

「……そうか。俺はまた、負けて、生き永らえた、わけだ」

「残念だったな。諦めて何か趣味でも見つけろ。ボードゲームとかなら、奥深いし、御自慢の暴力が通じないから骨が折れると思うぞ。たぶん」

「……このクソ野郎」

 春日武藤は敗北を飲み込む。かつてのそれはあまりにも刹那であり、噛み締める暇もなかった。別の怪物に敗れ去った際はむしろスカッとしたほどである。群れに蹂躙された時はもっと乾いた感情だった気もする。

 今はただ、

「次は、必ずぶち殺す」

 苦々しい敗北感が胸に沁みる。

「ああ、そうしろ。誰かを巻き込まれるよりそっちの方が気楽だ」

 そう言って笑う男を見て、春日武藤もまた、笑う。

 随分と遠回りな受け止め方であろう。こんなことされたら、駄々をこねる気力もなくなってしまう。そもそも鬱屈していたモノは先ほど全部吐き出した。

 それを受け止めきられたら、もう何も言えない。

 言うことが、なくなったから。


     ○


 アールトは危うくドローンを墜落させてしまいそうなほど、この結末を見て笑っていた。まさかの生け捕り、こんな決着、誰が認めるというのか。物語とは起承転結があるべきで、筋書きもまた物語であればそれは同じように在るべき。

「いや、ふふ、驚くほど枠に留まらないですね、彼。どう転んでもね、私たちは負けないように手を打っているものです。そのためにあらゆる選択肢を想定、潰し、盤石とする。それが王の指し方、私たちのやり方なのですが」

 アールトは心底嬉しそうに映像を見つめる。

「これはきっと、同輩であるアルトゥールにとっても、私にとっても想定していなかった事態だ。何しろこれじゃあ、何一つ収拾がつかないでしょう?」

「……彼は目先のことしか考えない」

 部下の言葉にアールトは微笑む。

「それはとても素晴らしいことです。人類が皆、これほどにシンプルであれば争いなど生まれようがないでしょう。迷いも惑いも振り切り、いや、飲み込み、彼は揺らがぬ刃金と化した。折れず、曲がらず、実に美しいですね」

 だが、とアールトは続ける。

「全ての人類が彼のようになれるとは限らない。いや、彼のような人類が生まれ出でるのは、それこそ奇跡のような確率を超えねばならないでしょう。それを皆に強いるのは、嗚呼、とても酷な話だとは思いませんか?」

 哀しげにアールトはうな垂れる。

「大衆が望むのはわかりやすいエンターテイメントです。悪がいて、正義がいる。今の彼らは映像を垂れ流したせいで、どちらがどちらかわかり辛い画になってしまっています。これでは人々の不安はぬぐえないでしょう」

「……マッチポンプ」

「なに、数百年以上世界を騙し続けている羊飼いの一族に比べれば、私の演出する三文芝居などかわいいものですよ」

 アールトは立ち上がり、部下である男に視線を向ける。

「そろそろ出番です。準備、お願いしますよ、我が友ロバート」

「わかっているよ、ボス」

 心底滑稽な己を自虐しながら、かつて『キッド』だった者はコンタクトを外し、真紅の瞳を浮かべ、苦々しい笑みと共に自らの弱さを呪う。


     ○


 鎖に縛られ、地に伏していたタケフジの背に尖った骨が突き立つ。

「……な、に?」

 突然のことに、何が起きたのか理解できぬゼンとタケフジ。この二人ですら理解できないのだ。ちびりながらカメラを回していた彼らも理解できるわけがない。

 そしてほぼ同時に――

「が、は」

 ゼンの腹部から鮮血が噴き出した。

 遅れて聞こえる、銃声。

「おいおい、威嚇だってのに当てやがったぜ、あいつ」

「しゃあねえっすよ、骨塚さん。あいつ、最近葛城善に殺されたらしくてめっちゃビビってましたもん。所詮同じ魔人クラスだってのに、だっせえっすよね」

「本当にな。隙突けば、こんなもんだわ」

 ただでさえ消耗し切っていたところへの急襲。ゼンもタケフジも血を吐きながら、彼らを睨みつけるしか出来ない。すでにタケフジを拘束する鎖は解除したが、そんなこと関係なしに出し切ったタケフジは動けないし、ゼンも同様である。

「あの王クラスにも一目置かれていたタケフジさんも落ちたもんだなぁ」

 ひょろりと細身の男がタケフジを見て醜悪に微笑んでいた。

「……知らん顔だな。死にたくなければ失せろ」

「満身創痍のくせに張るねえ、虚勢」

 男が笑みを深めた瞬間、タケフジは顔を歪ませ吐血する。

「俺の骨だぜ? 遠隔でも動かせるに決まってんだろォ?」

「……こんな、もの」

 腹を貫かれてなお、立ち上がろうと、引き抜こうと、足掻く姿に男は快感を覚えていた。あちらの世界では同じ魔人クラスであっても圧倒的格上、歯牙にもかけられない力の差があった。

 頭の悪い連中とは言え群れを形成していたのも気に喰わない。

 そんな相手を前に、今、自分は優位に立っている。

 それにもう一人――

「おっと、動くなよォ。葛城善。さっきのは威嚇射撃だ。次は当てるし、当てる相手がよォ、テメエやタケフジとは限らねえんだぜ」

 男の視線はちらりと硬直するカメラマンたちに向けられる。この視線一つで詰み。満身創痍ながら抗戦しようとしたゼンは言葉一つで動きを止められた。

 もはや、この状況を形成した時点で価値は確定しているのだ。

「ようやくだ。ようやく、借りを返せるなァ、覚えてるか、葛城善」

 男の問いにゼンは答えない。答えられない。

「……今、思い出させてやるよォ!」

 男は魔獣化する。皮膚を突き破る白骨。否、その肉すらも骨と化し、巨大な骨の集合体、スケルトンの魔人がこの場に顕現した。

「テメエに殺された、骨塚様だ。まずは、土下座して詫びろ! テメエ如き劣等が、格上である俺を小狡い手で嵌めて殺した。許されねえことだ!」

「…………」

 ゼンは顔を歪める。ギゾーがいてくれたら、と切に思う。

「……んだ、その貌は?」

「……ぐ、ぬ」

 ゼンとてふざけているわけではない。この状況は理解しているし、土下座の一つぐらいいくらでもする。だが、それをするにはあまりにも大きな問題があった。

 どこで会ったのか、思い出せないのだ。

 殺したことは謝りたいが、何故、どのようなシチュエーションで殺したのか思い出せないから、謝りようがない。まあ、ここで機転が利く者なら思い出せぬままでもふわっとした感じで謝罪をしてしまうのだろうが。

 生憎この男、そういう機転は利かない。

「くっく、おい、骨。どうやらそいつは、貴様のことなど覚えていないようだぞ。格上格下を問う前に、はっは、印象にすら残らんとはなァ!」

 骨塚は無言で腕を外し、拳を握ったそれは遠隔操作して嘲笑うタケフジに向けて放った。自分は魔族に生まれ変わったのだ。笑われるなどありえない。

 世の中上には上がいることは知っている。

 だが、

「あー、テメエら全部死ね。おい、そこの、しっかりカメラに映しとけよ。このカスども血祭りにあげたら、次は画面の向こうのテメエらだ。俺を馬鹿にした、俺を弾いた会社も、社会も、全部、ぜぇんぶ、許さねえからよォ」

 それでも自分は生まれ変わった。そしてこちらには王クラスはいない。あちらの世界よりも格段に、今の己は高い序列に存在するのだ。

「おい、とりあえずタケフジのカス、頭吹っ飛ばしてやれ」

 骨塚は後ろに控えるスナイパーに指示を出す。

「……あれ、なんか返事ないすね」

「ふん、どうせあれだろ、怪物になった葛城善とやらにビビってんだよ。ほんと使えねえ。組織には要らねえタイプだわ。しゃあねえ、全部俺が片付けてやる」

 指示に応えられない部下に苛立ちながらも、骨塚は自らのあばらを二対、引き抜いて構える。突いて良し、断って良し、鋭利なる骨である。

「とりあえず、土下座すべきか?」

「くは、もうとっくに遅いぞ、大間抜けめ」

「ぬ、ぬう」

「余力は?」

「無い!」

「……ふん、俺もだ」

 普段であれば小指一つで消し飛ばせる相手も、完全にガス欠であればどうしようもない。それに、どちらにせよ民間人が人質に取られた時点で、葛城善は無力化されたも同然。筋金入りの偽善者である以上、人質を無視などできない。

「貴様が俺を殺さないから、こんなくだらん死に方をすることになる」

「……一発なら、しのげる。ただ、その後に続く、力がない」

 ゼンの眼、魔術体である眼が揺らいでいた。

 おそらくはタケフジ、ゼン双方が空っぽになったことで重さが減じ、引力が弱まって全体に拡散してしまったのだろう。じきに維持すら出来なくなる。

 骨塚の背後で銃を構える部下と思しき男たち。満身創痍を相手に念の入れようだけは悪役としてきっちりしている、とタケフジは笑った。腐っても魔族、魔獣クラスでも魔力を込めた弾丸は弱り切った彼らなど容易く貫いてしまうだろう。

「じゃあ、死ね!」

 しかし、これではあまりに無様。

 タケフジは無言でゼンの顔面をぶん殴った。不意を突かれたゼンは大きく吹き飛び、カメラマンたちに激突する。あれなら、嫌でもあの偽善者が彼らの壁になることだろう。それで状況が覆るわけではないが。

「ガ、ア!」

 タケフジは無理やり腹を貫く骨を引き抜き、盛大に吐血しながらもその骨を骨塚目がけて投擲した。嗤う骨塚は指一本動かし、その骨を空中で制止させる。

「俺の骨だって、言ったよな?」

 格上が醜く足掻く姿に、愉悦を覚える骨塚。

「喉に骨が引っ掛かったから引っこ抜いただけだ、骨男」

「ほねお!? テメエ、許さねえぞ、八つ裂きにして――」

「なけなしの力だ。ありがたく受け取れ」

 タケフジは指を骨塚に向ける。

『迅雷』

 空に漂うは雷雲とは呼べぬ薄いもの。それでもタケフジの魔力に反応して、それは末期の一撃を放つ。鋭く、速い、タケフジ最速の小技。

 それが骨塚の眼を、片方、撃ち貫く。

「あぎい!? 俺の眼ェ、ふざ、けんな、、クソ、いてえ、いてえよォ!」

「ふん、惰弱が」

 そして、春日武藤は笑って腕組みし仁王立つ。その威風堂々たる姿に、まだ余力があるのかと思う彼らは迂闊に動けない。全員の視線が脅威である男に集中する。ゼンとて愚かではない。それがあの男の贈り物であることを瞬時に理解し、カメラマンたちを力ずくで引き摺ってでもこの場から離脱しようと――

「馬鹿どもが、あいつらが空っぽだってことも感じ取れねえのかよ。これだから魔獣クラスは。逃がすんじゃねえよ、あいつを始末すんのが俺らの仕事だ!」

 骨塚の一喝で彼らは当初の目的を思い出す。

 全員が一斉にゼンへと銃口を向けた。

「悪いな、これも仕事なんだよ」

 骨塚もまた自らの体の一部を展開し、ゼンの周囲を包囲する。

「終わりだ」

 締めのセリフと共に――


     ○


 喪服のような真っ黒のスーツを着た男はハンカチで手を拭きながら天を見上げる。タケフジが呼んだ雷雲も消え、雲の切れ間より射す光が眼を焼く。

 そしてわずかに笑みを浮かべる。

「さて、気は重いがあの御方に挨拶でもしてくるか」

 男はそのまま何事もなかったかのように歩き去って行く。

 其処には物言わぬバトルオークの死体があった。頭部には螺旋状の裂傷、魔獣クラスとはいえ人間に比べると比較にもならない強靭なはずの頭蓋は、螺旋に沿ってべっこりとへこみ、周辺には脳漿が飛び散っていた。

 そして足元には誰が掘ったかもわからぬクレーターが遺されていた。

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