第3章:レベルアップ

 フラミネス、もといロディナの解毒を終えて、逃げ出そうとしたロキを神族エルの民であるエル・メールと病み上がりのフラミネスが拘束した件から数日――

 監視者多数の状況下で、不貞腐れたロキによる魔術講座が開かれていた。

 参加者はアストライアーのメンバーを中心とした希望者、召喚士見習いであるフランセットらも参加しており、エルの民も数名顔を出している。人間性はともかく魔術領域の知識に関しては文化、種族の垣根を超え、一定のリスペクトはあるらしい。

「ギャハハ、凡才どもが雁首揃えてご苦労さん」

 人間性はクズの極みだが。

「ロキ」

「うっせーババア! しわが出来てるぞ」

「メール様にしわだと……あいつ、殺す」

「構いません。凡ての生物は老いるものです。神族もまた例外ではありません」

「俺は老いねえよ」

「心は老いますとも。貴方も立派な大人です。貴方が人族と交わって幾星霜、見せて頂きましょう。貴方が得た知識、いえ貴方の成長を」

 エル・メールの微笑みにロキは顔を歪め、そむける。

「……ふん。じゃああれだ、まったくもってやる気はねえが講義を始める。まず、魔術とは何か、だ。これはシンプルに考えろ。魔力、オドを効率的、または機能的に扱うための術理だ。火が欲しいから魔力を火に変換する。土地の形を変えたいから動かす。それだけだ。効率的でなければ魔術ではない。機能的でなければ魔術足りえない。ゆえにへたくそは魔術師ではない。騎士に転職することをお勧めする」

 とんでもない職業差別である。

「魔術の世界は日進月歩だ。少なくとも俺様は日々更新し続けている。同じ火を起こすという事象でも、どうすれば工程を短くできるか、魔力をより効率的に熱量へ変換できるか、その思索が魔術の肝だ。様々なカタチに変換する中での基幹技術だな。それが腐ってるやつ、旧いやつ、まあ俺様を除く大概の連中が当てはまるんだが、そいつらは魔術師もどきだ。さっさと看板降ろして死ねカス」

 とんでもない罵詈雑言である。

「で、だ。流派によって様々なやり方、知識が散見して取っ散らかっている魔術だが、とりあえず俺様の知見を述べる。正解じゃない。あくまでこのロキの考え方ってだけだ。まず俺は様々な場所でマナを収集し、分析を行った。やり方? 猿にそれ言っても伝わるか? とりあえず結果だけ知っとけ。見込みのあるやつには教えてやるよ。まーいねえと思うけど、ギャハハ」

 講義を受けに来た者たち、一様に真顔である。

「マナには大別して五つの性質があることが分かった。火、風、水、雷、土、あくまで大別、絶対じゃないが五つ、だ。これらが絡み合い、色んな現象が起きているわけよ。で、人族のオドはマナと同様に五つ、魔族は種族特有の性質の闇を含めて六つ、神族も光を含めて同じく六つ、ま、後述の光闇に関しては忘れていい。『ゲート』には必須だが使えないモノに固執しても意味がねえ。光に至っては他の属性と交わらねえからなお無意味、存在理由を問いたいね、俺様」

 エルの民、静かに殺意を燃やす。

「五つの基幹属性があり、複合して別の性質を出したり、効率を上げたり、機能性を高めたり、なんてのが複合魔術だ。たまにセンスだけで使ってるやつもいるが、意識して使えているやつは俺様ぐらいのもの、頭の出来が違い過ぎて困るぜ。ちなみにあえて失敗させると、させ方にもよるがマナが分裂を開始してびっくり仰天の破壊を生むから気を付けるこった。魔光術、魔光爆弾って言うんだけどな、ギャハハ」

 全員絶句。普通、こんなオフィシャルな場所でネタばらしする者がいるだろうか。普通に元凶なのに悪びれるどころかへらへら笑っているところも高ポイント、クズ度フルスコアである。

「安心しろ。そもそも手前らじゃ出来ねえよ。意識して使えるやつ以外、どうやって配分を調整して分裂させることができると思ってんだ?」

 やっぱり嫌な奴である。

「んで、こっからが本題だ、英雄ども。お前らが使う能力ってのは複合魔術なんだよ。五つの属性を複合させた魔術の深奥、フィフスフィア。お前らは召喚の際、何らかの影響で、無意識化で使えるようにチューニングされているんだ。ちなみに俺の不死もフィフスフィアだ。いい能力だろ? そいつ自身の個性が反映されるのか、何か別の要因で発動する現象が違うのか、正直まだわからん。魔術で辿り着いた奴の実例が少なすぎてな。ま、今は掘り下げる場合じゃねえし、俺は純粋な魔術によるアプローチ以外興味ねえから、真理の探究はまた今度、だ。大事なのは魔力が能力の元で、それが能力になってるってことだな。強化は簡単、おそらく現状最先端であるロキ様流基幹技術を学び、生かせ。魔術であると認識し、無駄を削れば、総合力であるフィフスフィアも向上するはずだ」

 それ以上に、有能なのだ。

 だからこそ裁かれずに彼はここにいる。

「人は裏切る、魔族も、神族も、裏切ることもあれば嘘もつく。だが、魔術は裏切らない、嘘もつかない。全てに理があり、全てに式がある。学べ、凡俗ども。猿じゃねえと証明して見せろ」

 魔術の王と謳う男が唯一つだけ心を許すモノ、それが魔術。

 魔王ロキ、彼の術理こそこの時代の最先端であった。


     〇


 ロキの講義は徹底して机上で行われた。

 彼曰く、

「馬鹿ほどすぐに実践したがる。理屈を頭に叩き込め、出来るのがゴールじゃねえ。理解して扱うのが目的だ」

 出来ること自体に意味はない。考えなしの実践は理解から遠ざけるだけ、とのこと。

 極論ではある。実際にほとんどの魔術師は実践が足りぬと愚痴をこぼしていた。

 今までのやり方と違い過ぎ、旧来の考え方と異なり過ぎて、反発は大きい。

 だが――

「ふーん。面白いじゃん」

 逆に真っ新なアストライアー勢からの評価は高い。

 考え方が理屈に沿っていて、理論立っている。アートでもなければスキルでもない、これは科学なのだと彼らは理解していた。

 そして、それならば基本的に彼らは問題なく受け取れる。

 稀に――

「ふが!? 寝てたぞ!」

 芸術家畑の者や、

「先に言っておくが、サッカーの知識以外勉強はやってねえ!」

 体育会畑の者など、理解が難しい人種もいるが――

 彼らは彼らでやり方を教えるとセンスや閃きでどうにかしてしまう。ロキとしては不本意であるが、それでも教える意義がない、ということはなかった。

 ただ一人を除いて――

「…………」

 食堂の隅でちまちまと食事をとるゼン。その貌に生気はなかった。

『武術は大星から形だけ真似ても意味がないと言われ、魔術はロキから閃きもなければ式にも弱く端的に才能がないと言い切られたわけだ』

 ギゾーの言葉にゼンはため息を重ねる。

 強くなる決意はした。何でもやる覚悟もあった。実際に今、『毒の王』カシャフの侵入以降鳴りを潜めた魔王軍の隙をついて、アストライアーや各国から希望者を集い全体のレベル上げを行っている最中である。

 その中で自分も高めるつもりが――

『逆に言えばよく、その武器を生成できている、って話だわな。努力もあるがその分野で才能があったんだろう。じゃないと説明がつかない程度には、馬鹿だ』

 ロキの言葉を思い出し、うな垂れるゼン。

『数字に、式に強くねえと魔術を使いこなすことは出来ない。センスってのは所詮水物、あれば良いってだけだが、どっちもないんじゃお手上げだ。魔族の特性も邪魔してるんだろうが、十年かけて多少ものになるかどうかってところだろーな』

 この戦いにはどう考えても間に合わない。

 つまり、ロキはゼンの育成に関してさじを投げたことになる。他の面々はめきめきと腕を上げ、魔術を利用して自らの術理を強化し始めているが、ゼンに関しては何一つも進んでいない。進む気配がない。

「意気込みだけでは、か」

『凡人の苦しいところだな。天才みたいにそう容易くはねーなぁ』

「何か、才能が欲しい。目に見える、何かが」

 そう言って俯くゼンに――

「無いものねだりしてもしょうがないでしょ? 隣良い?」

 返事を聞く前に、隣に座ったアリエルが現実を見ろ、と鼻で笑う。

「久しぶりだな」

「本当に視野狭くなってるわね。講義で会ってるに決まってるでしょ」

「そ、それもそうだな」

「ったく。で、わかんない部分とか、煮詰まっているところとか、私のわかる範囲なら教えてあげるけど、何かある?」

 表情、態度含めぶっきらぼうだが――

「教えてくれるのか?」

「あんたには借りがある。返す機会がやってきただけ」

「何かあったか?」

『さあ?』

「いいから。何かあるでしょ?」

「……うぬ」

『すごく言い辛いんだがな、アリエル嬢よ。それが言語化できないから相棒は凡人で、あのロキでさえ改善不能だと言い切ったんだと思うぜ? わかんないところがわかるってのはさ、半分以上わかってないとな。凡人ってのはそういうもんだ』

「……難しいわね。まあ、何かあったら頼ってくれていいから。たぶん、私は理解している方だし、武術も魔術も伸びている方だと自負してる」

『実際、めちゃくちゃ強くなってるな。びっくりしたぜ』

「どーも。でさ、完全に別件なんだけど――」

 ごほんとわざとらしく咳払いするアリエル。その視線はちらりと背後の柱、その陰にいるであろう人物に向けられていた。当然、ゼンは察しない。

「あんたのフルネームって葛城 善?」

「ああ、そうだが、どこで聞いたんだ?」

「まあまあ、それは置いといて、あー、そこの柱、後ろで倒れている女の子、見たことある? 新人なんだけどさ。もしかしたら知ってる子かもって」

「だ、大丈夫なのか? 気絶してるぞ」

「大丈夫。今日だけで五回は気絶してるから。ほんと、何で私があんな子の面倒見なきゃいけないのよ! 過呼吸よ過呼吸、そろそろ慣れなさいよ!」

「何の話だ?」

「こっちの話! で、知ってる子?」

「……むう。外人はともかく、日本人なら、こうなっても多少は判別がつくはずなんだが、記憶にない。ギゾーはどうだ?」

『自分の記憶なんだから自信持てよ。検索結果はマッチングなし、だ。少なくともあんな可愛い子、相棒が見逃しても俺が見逃すわけがねえ』

「本当に?」

「ああ、ギゾーが言うなら間違いない」

「おかしな話だけど、まあ、いっか。じゃ、あっちに聞くわ。何か役に立てそうなことがあったらいつでも言って。私、貸し借りは綺麗にしときたい方だから」

『相棒、ワンチャンあるで!』

「くり抜いて海に捨てて欲しいの?」

『オイラ、もっと優しい子がいいゾ』

 ぎろりとギゾーを睨みつけ、アリエルはさっさと柱の方へ向かっていく。

 全ての会話に疑問符を浮かべながら、ゼンは「まあいいか」と考えるのをやめた。個の割り切りが彼の強さではあるが、同時に弱さでもある。

 アリエルは足元に横たわる少女を抱き起す。

「知らないって」

 びくりと反応する少女は、一瞬落ち込むも首を振って、やはり落ち込む。

「仕方ない、です。その、最後に目が合ったのは、たぶん、小学三年生のプールの授業でしたから。彼の眼に水が入った瞬間を見計らって、眼を合わせました」

 それ目合ってないんじゃ、とアリエルはため息をつく。

 そう、彼女はゼンのみに対して会話どころか目も合わせられないほど、動悸と発熱が発生し、近づく前に気絶する能力を持っていた。

 話を聞くと小さな頃に助けてもらって以来、この調子なのだという。

 一応確認してみたが、当然の如くゼンに記憶はない。

「やあ、ゼン。どうにも煮詰まっているそうだね。なれば、共に魔界で生き残った戦友、この、スーパースタァである私、シャーロット・テーラーが君に教えようじゃないか。何でも聞き給え! 自慢じゃないが、優秀だよ、私は!」

 ゼンが断るとは微塵も思っていない彼女は胸を張って返事を待つ。

 挫折によって彼女は今まで以上にどん欲に知識を吸収し、武術も魔術もアストライアー内でも指折りの伸びを見せている。自他ともに認める優秀さ。

 ゆえに彼は断らない。喜んで一緒に勉強するだろうとの算段である。

「……殺す」

「あのバカ女、どうなってんのよほんと。流行り過ぎなんだって美女と野獣が。道理に合わないでしょうに、あーもう、ふんとにもう!」

「葛城君のこと野獣って言いました?」

 殺すぞ、本気でそう思っている彼女は普通にヤバい輩である。

「ああ、助かるよ。教え甲斐のない生徒かもしれないが」

「じゃあ今から教えてあげよう。何でも聞き給え」

「…………」

『だからな、さっきもアリエル嬢にも言ったんだが――』

 ふむふむ、と頷きながら一通り聞き終えた彼女は、

「ならば一から教えるとしよう。光栄に思うがいい。この私の、スーパーな部屋に初めて招かれることと成った男性だ。幸運が、過ぎる」

『アリエール、助けてくれー! やっぱこの嬢ちゃん苦手だァ!』

 いつの間にか薙刀を握っていた少女は殺意の波動に目覚めていた。

 鼻息荒くシャーロットを睨みつけ、同時にゼンが視界に入ったため陰に隠れて深呼吸を重ねる。危うく、危険な状況下で意識を落としてしまうところであった。

「ハァ、ったく、ちょっとそこのローストビーフ女。なに昼間っから発情してんのよ。つーかまずは自分のこときちんとすべきじゃない?」

「ハッハ、誰かと思えばカエル女じゃないか。発情とは人聞きが悪いね。完全無欠に善意で、下心など皆無だよ。私は皆のスーパースタァさ」

 両雄、まみえる。

 英国対仏国、長年ライバル関係であり仲が良い悪いでは語れぬ複雑怪奇な間柄である国家出身である二人は、同じように複雑な関係性であった。

「じゃあそこでもりもり食ってるキングさんに教えてあげれば? あの人も魔術はてんでダメでしょ? 地頭は良いはずなのに」

「え、やだ」

「!?」

 突如、やり玉にあげられ、ずたずたに引き裂かれた第四位『斬魔』は驚愕と共に静かにむせび泣く。その様子を見て不憫に思ったのかアストライアーモテないメンズたちがどこからともなく湧いてきて、傷ついた同胞の肩を抱いてやる。

「ほら、何が善意よ、万年発情期」

「ハァ!? 発情などしていないとも。君こそ随分食って掛かるね。私とゼンはあれだ、戦友なのだ。ともに魔界で冒険し、絆を深め合った仲だ。彼が苦しんでいるのなら手を貸してやるのが当然だ。スーパースタァでもなくてもね」

「戦友ってんなら私もそうだけど?」

「ふっ、こちらは魔界だよ、魔界。君、六大魔王に会ったことあるかい?」

「ハァー!? あんたアンサールと戦ったことあんの!?」

「六大魔王の方が格上だろう?」

「殺意が違うッての殺意が」

「じゃあシン・イヴリース」

「こ、の、私とあいつのコンビネーション見たことないでしょ!? 私の最高のアシストがあってこそ、アンサールは打倒できたわけ。あんたの馬鹿みたいに全部巻き込む能力と違って、私は応用が利くしあいつの戦い方とも噛み合うんだけど」

「いや、私の方が噛み合うが?」

「どこがよ、頭ローストビーフ!」

「何だとカエル女!」

 バッチバチで睨み合う両者を横目に、ゼンは「仲が良いなぁ」としみじみ思っていた。ギゾーは内心『空前絶後のモテ期来てるぞ!』とウッキウキであったが、肝心のゼンがそれどころではないのであおることまではしなかった。

 と言うかこの二人に関して、ゼンの心の友を自称するギゾーにとって、パートナーとしては出来れば避けて欲しい物件である、と考えていたのだ。

 面倒くさい、ギゾーをしてそう思わせるほど色々捩じれた二人組である。

「「はぁ、はぁ、はぁ」」

 高貴なる闘争を終えた二人の近くから気づけばゼンが消えていた。

「まったく、よくも邪魔をしてくれたね、アリエル」

「こっちのセリフだっての。つーか、少しは考えなさいよ。私たちのアドバイスでどうにかなるなら、あの怪物、ロキがどうにか出来ないわけないでしょ」

「まあ、その通りではあるね」

 ほら見ろ、という言葉を喉の手前で飲み込むアリエル。

 結局、近づこうという魂胆が見え見えなのだが、これまた厄介なことに『まだ』シャーロットは自覚しきっていない。馬鹿みたいな言い訳を理屈として振りかざし、思い至っていないのだ。厄介なのは、それに気づいた時である。

 大好きな友の想い、横からローストビーフが掻っ攫っていくなどあってはならないのだ。それが何故あってはならないのか、を言語化できていない時点で彼女の理屈もまたただの言い訳でしかないのだが。

 その様子を複雑な表情で見ていた少女に――

「で、君は彼の何なんだい?」

「……ッ!?」

 シャーロットは冷たい目を向けていた。

「その、え、と」

「敵意を向けるに足る立場であれば何も言わぬとも。だが、そうでないのであれば振る舞いを正した方が良いと思うがね。舞台の上に立てぬ者が、演者に口を出すことは出来ない。観客は常に出来上がったモノしか見れないのだから」

「……そ、それは」

「まあ、私が知ったことではないがね」

 颯爽と去って行くシャーロット。その背には陰など一切なかった。

「あの人、嫌いです」

「正論だと思うわよ、其処に関しては」

 少女は歯噛みする。

「わかっています。そんな自分は、嫌いです。でも、それを差し引いても、私はあの人が好きにはなれないと思います。似てるんです、少しだけ、私が一番嫌いだった人に。一番近くにいたのに、一緒にいる権利があったのに、あの人が苦しんでいる時に、そばにいなかった、気づきもせず、のうのうと――」

 本当の殺意。先ほどまで見せていたモノとは違う、理性を超えかねない情念。アリエルは少し思う。彼女のそれは嫌いだった人と、『自分』に向けられているのではないか、と。まあ、どちらにせよ思うのは――

(ほんと、流行ってんのね、美女と野獣)

 なぜあの男がこんなにモテるのか、というこの世で最も不可思議な疑問である。


     〇


「ふむ、色々と面白い状況じゃのう」

「オーケンフィールドにしろ、貴方にしろ、何故彼のような人物に注目しているのかがわかりません。所詮彼ではお役に立てないと思いますが」

「それはわからぬとも。第三の男も優秀であるが、第一、第二と比較して突き抜けておるかと言えば、それほどではないじゃろう。無論、未来視を封じた以上、同じ結末にはならぬであろうが……根本的に違うのかもしれぬ」

「どういうことですか?」

「英雄の在り様の話じゃよ。まあ、旧世代であるわしはロキのように最新を教えられるわけでもなし、暇つぶし兼研究じゃな」

 翡翠色の髪の青年が見守る中、陽気な老人が動き出す。

 半神半人、賢者トリスメギストスが。

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