その130:急転!ラバウル迎撃戦 南海の死闘・蒼空の熾戦 その6

「状況は? 情報は?」

「ラバウル、ラビより、敵機動部隊攻撃に対し夜間攻撃に準備変更。昼間攻撃は中止」

「敵機動部隊の動きは?」

「索敵機は、尚も接敵中。1030、方位、速度変わらず――」

「2時間前の情報じゃないか! 続報は?」

「ありません!」


 聯合艦隊司令部の作戦室には、幕僚たちの声が飛び交っていた。怒声に近い声も混じる。

 大テーブルにはソロモン方面の海図が拡げられている。


 聯合艦隊司令部にはソロモン方面からの情報が雪崩のように入ってくる。

 しかし、情報が錯そうし、時系列にそった情報など望むべくもなかった。

 この時代の通信インフラは、まだあまりに未熟過ぎた。


「とにかく敵空母は接近している。しかも、前衛に戦艦部隊を突きだしてだ」


 敵艦隊を示す駒に皆の視線が集まる。

 それはまるで、ハンマーを振り上げて迫る巨人のようなものだ。

 

「現時点で…… ラバウルまで260海里になるぞ!」


 最新の報告が2時間前。

 もし、速度、方位が変わってなければという想定でアメリカ艦隊の位置を測定。

 その予測位置はラバウルまで260海里までに迫っていることになる。

 

「敵は200海里で、艦上機を出してくる。ラバウルがやられるぞ!」

「戦艦の夜間砲撃もありうる」


 20ノットで進めば深夜には戦艦部隊がラバウルを巨砲の射程内に捉える。

 ラバウルの西飛行場も東飛行場も、そしてシンプソン湾の市街地も全てが攻撃レンジに入る。


「こちらから、反復攻撃できる距離じゃないか。11航艦司令部は何をやってる!」

 

 状況は切羽詰まっているが、第11航空艦隊司令部(陸上航空戦力を統括する司令部)は、昼間攻撃を断念した。

 そして、陸攻を中心とした夜間大規模攻撃を企図していた。


 それが、聯合艦隊司令部内をいらだたせていた。そんな戦力があるなら、モタモタするなということだ。

「見敵必殺(サーチアンドデストロイ)」こそが海軍の信条でありドグマであったからだ。


 先制攻撃を放棄したラバウルからの報告に対し、聯合艦隊司令部は最悪の空気となる。


「ブイン、バラレからの攻撃結果を見れば、その判断も仕方ありません」


 樋端航空参謀が超然とした態度で言った。まるで、彼の周囲だけ空気の色が違っているようだ。

 司令部の空気を悪くしているもう一つの原因――

 ブイン、バラレを中心とした陸攻、零戦の戦爆連合の攻撃は不首尾に終わったとのことだった。


 確かに、サラトガに魚雷を2発命中。駆逐艦3隻を沈めたという報告は入っている。

 しかし、敵が健在でラバウルに向け進撃している事実は変わっていない。


 ブイン、バラレは、ソロモン方面でガダルカナル基地に対峙たいじしている最前線基地だ。

 搭乗員の練度も高いし、陸攻は防御力を強化された最新の34型だった。

 その期待値に対し、与えた被害は小さすぎた。


 そして、こちらの被害は甚大じんだいだった。

 十分と思われる零戦の護衛を付けた戦爆連合が、惨敗したといっていい。


 56機の陸攻の内未帰還が21機。損耗率は37%を超えた。零戦も未帰還機を多数だしていた。

 相手が180~200機の戦闘機。それも、レーダ誘導され待ち構えていたことを考えると、想定できた被害かもしれない。

 俺は自分の判断の甘さにいら立ってくる。


「ガ島への地上攻撃のときは、5%以下の損耗率になっていたのに―― 防御力を強化した34型の陸攻でも艦隊攻撃は厳しいのか……」

  

 34型は、史実では戦争後半になってやっと出てくるかなりの防御力を備えた陸攻だった。

 自動消火装置、外袋式防弾タンク(タンクの外側にゴムを巻いたモノ。内袋式よりは、対弾性能は落ちる)、防弾板を備えている。

 

「むしろ、34型であったので、この被害で済んだのかもしれません。200機の戦闘機に突っ込んだのですから」


 樋端航空参謀が言った。この参謀はどこか超然とした冷静さを維持していた。


「やはり、敵の2空母は戦闘機のみ搭載ということなのか」


 宇垣参謀長が手帳を開きながら言った。彼はいつも通りの鉄仮面の表情。

 ひたすら、ネタ帳ではなく「手帳」に情報を書きこんでいる。 

 日記の書籍化を目指す参謀も超然とし、その態度はぶれない。


「そうでしょうな。考えてみれば簡単なことでしたな」


 黒島先任参謀が「今さら当たり前のことを」というような感じで言った。

 司令部内の分析、索敵機の報告から、アメリカの空母は戦闘機だけを搭載していると判断されていた。


「その簡単なことに、こちらは振り回されたわけだが」


 そう言いながら、手帳になにかを書いていく。

 自分の日記の書籍化を目指す宇垣参謀長は克明にメモをしていくのだった。

 そえは参謀としての職務だから。書籍化のためではないと俺は思ってあげる。


「であるならば、ラバウルへの空襲はないのでは?」


 渡辺参謀がポツリと言った。

 

「いや、F4Fは、対艦対地攻撃能力を持っている。安閑はできないだろう」


 俺は言った。史実ではウェーク島に配備されたF4Fが対艦攻撃で、こちらの駆逐艦「如月」を沈めている。

 不安定な旧式火薬が充填された旧式の爆雷が誘爆したのだ。同じような爆発はフィリピン攻略戦の最中に駆潜艇が起こしている。

 今は八八式火薬が主流となり誘爆はしない。燃えはするが。


 現在の戦況には全く役に立たないヲタ知識が俺の脳内に展開される。

 とにかくF4Fは、対地攻撃力を持っているということだ。


「確かに安閑はできませんが、敵戦闘機も相当の被害を受けているはずです」


 樋端航空参謀が言った。


「防空の傘としての役割を果たせなくなるような無茶な攻撃はしてこないってことか」

「そうですね。長官」

「100パーセント言いきれるかどうか分からんが、筋は通っているか……」


 俺は海図を見つめて考える。やはりそうなのかと思うのだった。


「戦艦を突っ込ませるための楯としての空母なのか……」


 その考えは当時であっても珍しくない。というか、空母が決戦戦力になる前の運用思想はそんなものだ。

 戦艦の上空を守るための傘、空母の艦上機はそのために存在しているという運用思想――

 一見ほこりをかぶったような考えだが、ここまで思い切ったことをされると対抗が難しい。

 くそ――


「やはり、昼間攻撃しかないです! 長官! 戦艦の脅威も排除するのに1回の夜間攻撃では困難です」

 

 幕僚のひとりが声を上げる。「そうだ」という同調者もひとりふたりじゃない。

 陸攻の夜間攻撃は、戦前から訓練を積んでいる戦法のひとつではある。

 敵戦闘機の妨害を受けないというメリットはあるが、こっちの攻撃も難しい。

 しかも、戦果の確認はもっと困難だ。効果に対し懐疑的な幕僚がいてもおかしくない。

 俺にしても、史実の台湾沖航空戦が端的な例として頭に浮かんでくるのだ。


「敵戦闘機の運用機数も減ってます。報告では100機以上の撃墜を――」

「確定情報じゃないよ。空戦の戦果確認には誤認がつきものだ」


 俺は諭すように言った。


「夜間攻撃になれば、なおさら戦果確認は難しくなります。長官――」

「夜間攻撃をするのはいいでしょう。しかし、それは昼間攻撃も実施しないということにはなりません」

「そうです。長官。昼間、夜間と連続波状攻撃により敵の撃滅を」

「陸攻だけでなく、艦爆、艦攻も攻撃できます」

「いや、零戦に爆装も可能だ。やるべきだ。いや、やらせるべきだ」

「陸戦の月光(屠龍の海軍採用型)も爆装可能です」


 ラバウルはソロモン最大の基地だ。

 史実ではガ島をめぐる戦闘で最前線となり、無理な長距離攻撃で多くの機体、搭乗員を失った。

 しかし、この世界では最前線を支える後方基地として機能している。


 ポートモレスビー攻略で、ラバウルへの陸上基地からの航空攻撃はほぼ不可能になっている。

 B-17少数機による夜間攻撃はあるが、不活発だ。  


 日本海軍における南方最大の根拠地であるトラック島から700海里。

 海軍の航空機であればそのまま移動できる距離なのだ。

 ラバウルは、ソロモン海域の要石となって戦線を支えている。

 戦力は充実しているはずだった。 


「ラバウルの現状戦力は?」

「陸攻、艦爆、艦攻は200機以上」

「定数か? 稼動機か? どっちだ?」


 その答えはどこからも上がらない。俺も分からん。

 確かに数字の上では200機以上だが、実際に飛ばせる機体の数は常に変化してくる。


「夜間攻撃隊の編成規模と変わらない可能性がありますな」


 黒島亀人先任参謀だった。

 まるで、この右往左往の騒動こそが、戦争の面白さではないか、とでも言いたげな表情だった。

 切れ者ではあるが、どこか常人とは相いれない思考回路の持ち主だと俺は確信する。


「とすれば、ブイン基地から出した機数と大差ないのか……」


 最前線で戦っている者が体感している戦争と、後方の司令部の戦争。

 その内容は大きく違っているのかもしれない。

 かといって、俺はソロモンに出て行く気はないんだけど……


 なにか目に見えない予定調和のような運命がまとわりついているような気がしてくる。やな予感だ。ブイン視察とかの話が出てきたら「死亡フラグ」だと俺は思うぞ。


「そうであったとしても、敵の戦力も相当低下している可能性があります。長官」


 昼間攻撃を主張する声はまだ収まらなかった。 


「戦った搭乗員の奮戦、功績を認めないわけじゃない。評価はする。しかし、司令部が報告を鵜呑みにして、作戦を考えるのは危険だ」


 いくらなんでも、半分以上の敵機を叩き落したというのは、過大にすぎる戦果報告だ。

 史実でその種の錯誤が作戦を大きく歪めたことを知っている後知恵の言葉だけど。


「航空参謀としては、長官の意見に賛成です」

 

 樋端航空参謀が助け船を出してくれた。神かコイツは。つーか、本当の神は全然頼りにならんのだけど。


「推測ですが、現時点で120~150機の運用が可能と思われます」


 彼は「推測」と言いながらも、断定的な物言いで数字を挙げた。

 その言葉に対し、黒島先任参謀が異相の眉根を上げた。

 値踏みするような視線を航空参謀に向ける。

 そして早口で言った。


「根拠は?」

「敵が進撃を止めていません。敵の被害は許容できる範囲ということです」

「それは数の証明にはならない。もっと残存機が多いかもしれない」

「残存機が多いのであれば、どのみち昼間攻撃を中止する判断は正しいことになります」

「ほう……」

「作戦目的を達成しうると判断できる機数が残存しています」

「それが120~150か」

「もしくは、それ以上」

「なるほどね。では――」


 黒島先任参謀が樋端航空参謀に対し「コイツもバカじゃない」という感じの表情を浮かべる。


「陸攻による、いや艦爆、艦攻もだな。昼間攻撃は危険すぎるという訳だ」

「そういうことです」


 頭の回転速度が通常人と違う二人が結論を口にしていた。


「しかし、それではラバウルは!」


 参謀のひとりが声を上げた。

 多分、この場にいる多くの者の思いを代弁している。


「あ―― そうか…… そういうことかぁ。陸攻の昼間攻撃は止めてもいい」


 俺もここにきてやっとわかった。

 樋端航空参謀が俺を見て「その通りですよ、長官(パチモン)」という笑みを浮かべる。


「零戦―― 53型だけで攻撃を」

「第11航艦ではそのつもりでしょう」


 そう。確かにラバウルではその計画があった。

 しかし、それは結果として実行されなかったが……


「それだけじゃない…… まだあるんだろう?」


 黒島先任参謀が樋端航空参謀の顔を覗き込むようにして言った。

 年齢不詳の異相に楽しくて仕方ないという笑みがへばり付いている。

 この戦争を心から楽しんでいるんじゃないかと思わせる笑みだった。

 

「ラバウルが、挟み撃ちになるかもしれません」

 

 樋端航空参謀が龍のあぎとのような、海図上のラバウルを見つめている。


「東か?」

「おそらくは、外線からの包囲」


 今回は、言わんとしていることが司令部全員に分かった。

 おぼろげながら、アメリカ海軍の戦術が見えてきた気がした。


「サラトガとレンジャーの機動部隊は、戦艦を突っ込ませるための上空護衛専門の機動部隊か、そして――」


 俺もラバウル周辺の海図を見つめる。

 アメリカが現在投入できる空母は4~5隻。

 エセックス級の1隻が確認されている。更にもう1隻も可能性はあった。

 その機動部隊がラバウルにやってくる。その可能性は高い。


 少ない劣勢な機動部隊をわざわざ分割し、奇策で片方に注目を集めさせる。

 そしてだ――

 もうひとつの機動部隊は近くに迫っているのかもしれない。


「第一航空艦隊に、索敵を厳重に行うように指示を」

 

 俺は言った。こうなってくると、赤城、加賀、隼鷹、飛鷹の空母を基幹とした第一航空艦隊が頼りだ。

 いや、横合いから奇襲を受ける可能性すらある。 


「ラバウル東方海域に敵空母の可能性ありと伝えろ。第二航空艦隊もトラックを――」

 

 もう一方の敵機動部隊の出撃の備えとして待機していた第二航空艦隊。

 それも出撃させなければ危ない。油不足だのどうの言ってられない。


「すでに出撃しているようです」

「え?」


 山口多聞提督の率いる第二航空艦隊。 

 むしろ、第一航空艦隊以上の攻撃力を誇るトラの子の艦隊だ。

 最新鋭空母の翔鶴、瑞鶴に、高速中型空母の飛龍を中核とする機動部隊。

 こちらの切り札といってもいい戦力だ。


「さすが、人殺し多聞丸ですね―― 生粋の戦争のプロですよ」


 樋端参謀は言った。まるでこうなることが当然というような感じでだ。


        ◇◇◇◇◇◇


 ラバウルに設置された電探(対空レーダー)が、東方に不審な反応を捉えたのは、零戦隊による機動部隊攻撃が準備されている最中だった。

 小さな覗き窓のようなAスコープに尖った反応が出ていた。


「通信長、敵が来ました! 敵機の反応が!」

「なんだと!」


 電探を操作していた兵の言葉で、通信長はスコープを覗きこむ。

 電波エコーの反応が100キロ先に飛行物体が存在すると言っているのだ。


「おい、これ方位は――」

「東北東ですね」

「逆じゃねーか! 敵空母と……」


 通信長は一瞬、機械的な故障ではないかと思ったのだ。

 なにせ、この電探という機械は、中々安定して動いてくれないのだ。

 この頃はマシになったとはいえ、真空管をとっかえひっかえしながら、運用していた記憶はまだ鮮明だった。


「故障じゃないか?」


 ポリポリと頭をかいて彼は言った。

 敵空母は南にいるはずだ。その攻撃に東の飛行場では零戦隊が準備をしているのだ。


「いえ、これは故障ではないと思います。この種の故障は今までもないです。壊れると反応が出なくなります。本邦の電探はそんな中途半端な故障はしません。完全に動かなくなります」

「そうか……」

 

 貶してディスっているのか、褒めているのか分からない部下の発言に、何ともいえない顔で反応する。 


 もし、ここで「東北東、100キロに敵機発見」と報告するとしよう。

 最近になって電探基地に設置された電話を見ながら、彼は考える。

 そして、報告だけはすべきだと、彼は結論を出した。


 彼は電話とった。司令部に直通の電話だ。


 もし、彼が「電探の故障」だと判断していたら、その後の展開は大きく変わったかもしれない。


「電探に反応あり、東北東の方向、距離100キロ―― 規模? 規模ですか?」

「おい、どうなんだ?」

「100キロ先で少ない機数じゃ、この電探じゃ見つけられません。大編隊ですよ」

「大編隊です! あ―― 100機以上の大編隊! 接近中です」


 数までは分からない。しかし100キロという距離から「100」という数が脳裏にこびりつき、彼はそういってしまった。

 ヤバいと思ったが、とりあえず電話を切った。引き続き監視せよとの命令をもらってだ。


「接近してきます―― 故障じゃないです。敵はこっちにもいます」


 彼の部下は確信を持った声でそう言った。


        ◇◇◇◇◇◇


「攻撃目標の変更か。迎撃戦闘とはな……」


 零式艦上戦闘機53型の操縦席の中で、坂井三郎少尉は独りごちた。

 すでに彼を含む70機以上の零戦がラバウルを飛び立っていた。


 戦闘諸元をチェックしながらも、彼は周辺警戒を怠らない。

 僚機が追従していることも確認する。問題はない。今のところはだ。 


(敵は100キロ先、20分か……)


 彼は航空時計を見て、敵の想定巡航速度から概算の接敵時間を計算をする。まだ酸素不足で6割頭になるような高度ではなかった。

 1300馬力の金星エンジンが機体を上空に引っ張り上げていく。

 ラバウルに配備された電探は、敵の方位と距離の探知はできた。しかし、高度は分からない。

 過去の経験から敵の侵入高度は6000メートル以上であろうと坂井三郎少尉は判断する。

 中隊長機も、同様の判断をしていた。


 本来であれば、南方からラバウルに向け進撃している敵機動部隊に対し、戦闘機のみで攻撃を行う予定だった。

 鳥のフンのような30キロ爆弾を付けての出撃だ。敵戦闘機に出会えば、捨ててしまってもいいものだ。

 敵の妨害が少なければ、ぶち込んでやってもいいかというくらいなものだ。


 敵が出てくれば、徹底的に叩き落し、出てこないなら、鳥のフンのような爆弾を空母にぶつけるという作戦だった。

 30キロ爆弾でも、木製の空母の飛行甲板は無傷というわけにはいかない。

 

 それが唐突な作戦の変更だった。

 電探情報により、東北東から敵大編隊が迫っているという。

 100~200機以上の戦爆連合とのことだ。


 そのようなことまで、電探という機械でわかるのかと彼は素直に驚いていた。

 

(しかし、空に上がれば、見張りの勝負だ)


 昼間の星すら見つけられる超人的な能力を持った男が、鍛え上げた両眼という「光学センサー」で周囲を探査する。

 

 蒼い空にごま塩のような存在―― 彼の網膜が光子の反射を捉えた。

 そして、その瞬間にフットバーを蹴飛ばし、機首をその方向に向ける。


 彼は、12.7ミリ機銃を発射していた。敵機発見を伝えるのに、無線などまどろっこしかった。

 バンクを振り、虚空に機銃弾を放つ。

 

 真紅の火箭かせんが青い空に伸びていく。

 それは、蒼空の戦いを告げる狼煙であった。

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