最終話・・・ハッピーモード

彼女が電話越しに喜んでいる。


「マナーモードもいいけど着信メロディーもいいものでしょ♪」


人生観を広げてくれる彼女。


彼は、彼女との未来予想図を思い浮かべながら彼女との通話を楽しんでいた。


将来の話ができる喜び。


面と向かって話すことができない結婚という話題にも電話だったら一歩踏み込める

ような気がした。


「ねぇ、僕達きっとうまくいくと思うんだけど一緒にならないか?」


「え、それってプロポーズ?」


「ああ……」


「ちょっと考えさせて……」


「な!?」


「またすぐ連絡するから」


(ツー、ツー、ツー)


話の流れからいっても良い返事が聞けるかと思って自信があっただけにその驚きも大きい。


彼は携帯電話を見つめながら泣きそうな顔をしていた。


そこにすぐ携帯電話がメールの着信をした。


彼は着信音を聴いたとたんに喜びで鳥肌が立った。


着信音が

「パンパーカパーン♪パンパーカパーン……♪」

と結婚式のマーチだったからだ。


「結婚しようね!」とメッセージが入っていた。


彼女には敵わない……。


マナーモードにしていたら、あらかじめ彼女が設定していたこの音楽が聴けなかったことだろう。


着信メロディーがキッカケとなって結婚へ……。


彼は彼女との結婚式を想像しながら、すぐに返信を送った。


「結婚式ではマナーモードにしておこうね!」と……。


以前、マナーモードな男であったが、


今は、


【ハッピーモードな二人】に設定されているのであった。


おしまい

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

短編小説「マナーモードな男」 ボルさん @borusun

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ