第11話 警察官臨場

 橋の上には、ジャンヌを追ってきた白バイ、パトカー2台と数人の警察官がいた。

 白バイ警察官

    「ボートが戻って来たぞ」

    「あの黒い繋ぎを着た女を逃がすなよ」

 ジャンヌは、夕子の手を取ってボートから橋の上に上がって来た。

 ジャンヌは、警察官に

    「ボートの中にいる男が、東京、埼玉の連続殺人事件の犯人です」

    「直ぐに、警視庁捜査一課の鬼山警部に、このことを連絡して下さい」

と、言った。

 警察官らは、きつねにつままれた様にキョトンとしていた。

 白バイ警察官は、

    「いいですか。あなたが何を言おうと、あなたは80kmオーバーの

     速度違反をしたのですよ」

    「あなたを速度違反で検挙します!」

と、強い口調で言った。

 すると、脇にいた夕子が

    「この方が言うことは、本当です。」

    「彼女が、この男に殺されそうになった私を助けてくれたのです」

と、必死に命の恩人であるジャンヌをかばった。

 その言葉を聞いた白バイ警察官は、とても驚き、パトカー乗務の若い警察官に

    「とにかく本署へ、この旨を報告してくれ」

    「それと、警視庁の鬼山警部に連絡するようにと」

と、指示した。

 やがて現場には、所轄の刑事や本部の鑑識班も到着し、大騒ぎとなった。

 殺人魔は、その場で警察官に身柄を確保された。

 夕子は、一旦、救急車で病院に搬送されたが、身体に異常がないことが判明したことから、事情聴取のため水郷警察署へ向かった。

 現場で刑事が、ジャンヌに

    「あなたにも事情を聴きますから警察署までご同行願います」

    「それと、ヘルメットを脱いで顔を見せてもらえませんか」

と、言った。

 すると、彼女は、

    「わかりました。私は、警察署の場所が分からないので、パトカーの

     後をバイクで付いて行きます」

    「ヘルメットは、警察署で脱ぎます」

と、言ってバイクにまたがりエンジンをかけ、パトカーの後から付いて行った。

 しかし、それも最初だけ、途中まで来るとエンジンを全開にしてパトカーを振り切り、アッという間に何処かに消え去ったのである。

 パトカー警察官1

    「た、大変だ! バイク女が逃げるぞ!」

 パトカー警察官2

    「に、逃がすな! 赤色灯をつけて全速で追え!」

 パトカーは、夢中でジャンヌを追いかけたが、1分もしない内に見失ってしまった。 

 

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