僕と幸太郎

@mikoshibax

気がついたら僕は

御子柴は迷っていた。こんなことになることは想定のうちだ。そう言いたかったが、ちょっとそうも言っていられない。


気がついたら御子柴は、知らない街にいた。最後の記憶がある情景は、飯田と一緒にいたバーの風景だ。飯田は、バーボンを嗜んでいた。僕は、お酒が飲めないので最高級のジンジャーエールとバーテンダーが言っていた自家製のジンジャーエールを嗜んでいたわけだ。


賢明な読者諸君ならわかるだろう。


僕は酔いつぶれることはない。知らない街にいることはおかしいのだよ。でもまあしょうがないここにいることは事実だ。こういうときはまず現状把握から。持ち物を確認してみた。iPhoneはない。そんな都合のいいことはやっぱりなかった。


あっ。でも財布はある。現金もある程度ある。


周りを見回した。知らない街だし、なんとなく僕の住んでいた東京とは雰囲気が違う気がした。僕はどんな状態かというと気がついたときにいた場所は公園のベンチだった。ここまで書くと推理小説の主人公みたいだが、僕にはそんな余裕はない。


かっこいい主人公みたいにはいかないなと思いながら公園を出てうろうろしていたらやっと自分のいる街のことがわかった。ここは仙台だった。そうか。おれは仙台にいるのか。妙に落ち着いた心がそう呟いた。


仙台といえば、伊坂幸太郎の小説の舞台は仙台だったな。そう思うと推理小説好きとしてはラッキーだった思う。それに牛タン食べられるな。



続く











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