一月の前に現れた謎の男、猪狩。飄々たる猪狩は、巷で話題の「連続殺人事件」について語る。これらの「接触」と、二人による事件の「推理」は一般ミステリではよくあるのですが、特筆すべきは真犯人は誰なのかではなく、謎の男の正体でもない。すべては一月の中にあるのだと、終盤を読んでいて感じました。読み終えた後、再びタイトルとプロローグを読んでみてください。作者様が用意した真意に、ハッと気づかされることがあるかもしれません。
読み応えのあるミステリーでした。主人公の女性が、少し現実離れした人物で、でもその人物の常識に則って話が進んでいくので、終始何かがズレているような、不思議な感覚になってきて……でもそれが、最後の最後でつながります。ああ、これ以上は言えない。気になる方は、ぜひ読んでみてください。