第1258話天平五年に、入唐使に贈りし歌一首(1)

天平五年に、入唐使に贈りし歌一首 短歌を併せたり 作者未詳

※天平五年:天平五年(733)の遣唐使。


そらみつ  大和の国  あをによし  奈良の都ゆ

おしてる  難波に下り  住吉の  御津に船乗り

直渡り  日の入る国に  任けらゆる  我が背の君を

かけまくの  ゆゆし畏き  住吉の  我が大御神

船の舳に  領きいまし  船艫に  み立たしまして

さし寄らむ  礒の崎々  漕ぎ泊てむ  泊り泊りに

荒き風  波にあはせず  平けく  率て帰りませ  もとの朝廷に

                       (巻19-4245)

※そらみつ:大和にかかる枕詞。

※あをによし:奈良にかかる枕詞。

※おしてる:難波にかかる枕詞。

※日の入る国:唐の国。



大和の国の、奈良の都から、難波に下り、住吉の御津から、船に乗り、

寄り道などをせずに、唐の国に渡り、任務を果たす私たちの愛しい貴方を、

畏れ多くも住吉の大御神は、進む船の軸先に御鎮座なされ、船の艫にお立ちになられ、立ち寄る全ての磯の先々では荒い風や波に遭わせることなく、安全に率いて返していただきたいのです。どうかもとの大和の朝廷に。

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