第1250話磯の上の つままを見れば 根を延へて

季春三月九日に、出擧(すいこ)の政に、古江村に行かむとするに、道の上に物花を属目せし詠。并せて興中に作りし所の唄を幷せたり。

※季春三月九日:「季春」は晩春、三月のこと。太陽暦では4月19日頃。

※古江:氷見市南部にあった村。

※物花:美しい風景。

澁谿(しぶたに)の埼を過ぎて巌の上の樹を見し歌一首  樹の名は都萬麻

※澁谿(しぶたに)の埼:富山県高岡市の海岸。

※都萬麻(つまま):クスノキ科の常緑樹、たぶの木とも言う。


磯の上の つままを見れば 根を延へて 年深くあらし 神さびにけり

                       (巻19-4159)


季春三月九日に、出挙の目的のために、古江村に出向く道中で、景色を眺めた歌と感興を催して詠んだ歌。

澁谿(しぶたに)の崎を通り過ぎる時に、岩の上の木を見て詠んだ歌一首。木の名前は都萬麻(つまま)。


磯の上に立つ都萬麻(つまま)を見ると、その根がしっかりと張り、長い年月を経た神々しさまで、感じました。



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