第1192話草枕 旅行く君を 幸くあれと
大伴宿祢家持、天平十八年閏七月を以って、越中国守に任ぜられ、即ち七月を取りて任所に赴きき。時に、姑大伴氏坂上郎女の、家持に贈りし歌二首。
草枕 旅行く君を 幸くあれと 斎瓮(いはひへ)据ゑつ 我が床の辺に
(巻17-3927)
※斎瓮(いはひへ):忌み浄めた神聖な瓮(かめ)の意味。お神酒を盛る大きな土器の壺。神に願をかける時に、祭祀を行う女性の寝所の枕の位置に据えた。
今のごと 恋しく君が 思ほえば いかにかもせむ するすべのなさ
(巻17-3928)
旅に出る貴方のご無事を祈願し、斎瓮(いはひへ)を、私の寝所に備え付けました。
今この時になって、貴方がこれほどまでに恋しいお方と思うのなら、この先どうしたらよいのでしょうか、(全く無力で)なすすべもありません。
大伴家持に歌を贈った坂上郎女は大伴一族の刀自(祭祀を司る女性)。
おそらく涙して、せめて道中の無事を神に願い、斎瓮(いはひへ)を据え付けた。
また、家持は、愛しい甥であり、我が娘坂上大嬢の夫でもある。
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