第1116話由縁ある雑歌(6)
商返し めすとの御法 あらばこそ 我が下衣 返し給はめ
(巻16-3809)
※商返し:商いの約束を相手に返すことで、売買契約を反古にすること。道義に反するため、厳禁されていた。
右は、伝に云はく、「時に幸せられし娘子有りき。姓名未だ詳らかならず。
寵薄らぎて後に寄物 俗には「かたみ」と言ふ。を還し賜ひき。
ここに娘子、怨恨して、いささかにこの歌を作りて献上しき」といふ。
商いの取り決めを反古にする、そんなことを認める法律とか有るのでしたら、私が差し上げた形見の下着を、お返しいただいても、問題はないのでしょうが。
右は、言い伝えによると、「帝により寵愛を受けた娘がいた。姓名は未詳。
その後、帝の寵愛が薄まって、以前に娘が差し上げた下衣を返してこられた。世間ではこれを形見と言う、そこで、娘は恨めしく思い、この歌を帝に献上した」となっている。
帝ご自身が、私との愛の約束を破り、お定めになられた法律まで破るのですか?
娘子は、帝を他の娘子に取られてしまったのかもしれない。
その腹いせもあって、帝であろうと、しっかりと追求をしている。
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