第1024話相見ては 千年や去ぬる いなをかも

相見ては 千年や去ぬる いなをかも 我れやしか思ふ 君待ちがてに

                         (巻14-3470)

柿本朝臣人麻呂歌集に出づ


この間お逢いしてから、千年も過ぎ去ってしまったのでしょうか。

いや、そうでもないでしょう。

私が、そう感じるだけかもしれません。

あの人との逢瀬を待ちきれないので。


なかなか微妙な歌と思う。

これを詠んで、相手に贈れるだろうか。

あくまでも、自問自答の歌と理解する。


それを「つまらない」と切り捨てる学者も多い。

しかし、この苦悩は、恋をした経験がある人なら、誰でもわかる話。

簡単には「つまらない」とは言い切れない。

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