明日香川　高川避きて　来しものを　まこと今夜は　明けずも行かぬか

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（巻12-2859）

明日香川の水かさが高く増している所を避けて、遠回りをして来たのです。

だから、本当に今夜は夜明けなど来ないで欲しいと思うのです。

明日香川は、古来流れが速く、川筋を頻繁に変える川。

大雨でも降ったのか、いつも渡る部分の水量が増していて、そこでは渡れなかったようだ。

しかし、どうしても妻に逢いたい夫は、遠回りをして時間をかけて、妻の家にたどり着いた。

そのため、この苦労に免じて、「夜は明けないで欲しい」と詠む。

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