第918話我が背子を 今か今かと 待ち居るに

正述心緒

※正述心緒:直接に自分の心を述べる歌。


我が背子を 今か今かと 待ち居るに 夜の更けゆけば 嘆きつるかも

                       (巻12-2864)

私の愛しいあの人を、今か今かと待ち続けたけれど、訪れがないまま夜は更けてゆくので、嘆いてしまいました。


妻としては、期待を込めて、寝床を整え、ひたすらに待つ。

しかし、今来るか、今来るかと待っていても、まったく気配がない。

夜は、更けてゆくばかりで、それでも期待があるから眠ることもできない。

その後が気になるけれど、おそらく訪れはなかったと思う。

古代の暗い道は危険も多い。

夜更けになればなるほど、夜這いは危険な行為となるのだから。



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