第916話妹に恋ひ 寝ねぬ朝に 吹く風は

妹に恋ひ 寝ねぬ朝に 吹く風は 妹に触れなば 我にも触れこそ

                       (巻12-2858)

愛しいあの妻を思い、とうとう眠れなかった朝に吹いて来る風は、妻に触れたのなら、私にも触れて欲しい。


逢瀬が果たせない事情があるようだ。

風を字句に使っているので、遠距離恋愛の可能性がある。

本当に妻が愛おしいので、妻の肌に触れた風を、一緒に自分の肌にも感じたい。

ほんのわずかでも、同じ感覚を共有したいと、願う。


諦めが悪い、と批判するよりは、男の純情を評価したい。

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