第910話かくしつつ あり慰めて 玉の緒の

問答


かくしつつ あり慰めて 玉の緒の 絶えて別れば すべなかるべし

                        (巻11-2826)

紅の 花にしあらば 衣手に 染め付け持ちて 行くべく思ほゆ

                        (巻11-2827)


こうしてずっと慰めてくれますが、ここでの縁が切れてお旅立ちになられてしまうと、もう何ともならないのです。


貴方が紅花であったなら、袖に染め付けてでも、一緒に行こうと思うのですが。



旅立つ男を見送る、女の歌になる。

女は完全に縁が切れることを詠んでいるので、地方の女(現地妻)と思われる。

悲しみにくれる女に対して、都に戻る男の歌には、どこか白々しい印象を受ける。

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