第909話思ふ人 来むと知りせば 八重むぐら

問答


思ふ人 来むと知りせば 八重むぐら 覆へる庭に 玉敷かましを

                       (巻11-2824)

玉敷ける 家も何せむ 八重葎 覆へる小屋も 妹と居りてば

                       (巻11-2825)


思い焦がれている貴方が来られると、事前にわかっていたなら、こんな八重葎が覆う庭をきれいにして、玉を敷き詰めておいたのですけれど。


玉を敷いた家であっても、八重葎が覆うような小屋であっても、何も関係はないのです。愛おしい貴方と一緒にいられることができるならば。


女は諦めた頃に、突然来た男への恥じらいなのか、皮肉なのか。

間をあけてしまった男は熱意なのか、とってつけたような甘い言葉なのか。


様々に解釈が可能な歌である。

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