第908話栲領巾の 白浜波の 寄りもあへず

問答


栲領巾の 白浜波の 寄りもあへず 荒ぶる妹に 恋ひつつぞ居る

                        (巻11-2822)


かへらまに 君こそ我れに  栲領巾の 白浜波の 寄る時もなき

                        (巻11-2823)

※栲領巾:たくひれ。白浜波にかかる枕詞。楮の繊維で織った領巾(女性が肩にかける装身具)

※かへらまに:逆に。


白浜に寄る波のようには、寄りつくことができないけれど、ご機嫌斜めな貴方に恋し続けているのです。


そうではなくて逆に貴方こそ、白浜に寄る波のように、来てくれる時がないのです。


逢瀬の間隔があき、男は女から不実を責められたのだろうか。

それで、男は、ますます行きづらくなったのかもしれない。

それで戯れ半分に、「貴方が怒るから」と歌を詠む。

しかし、女の態度は変わらない。

「貴方が来てくれないから、責めたくなるのです」

こんな、やり取りなのだろうか。

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