第911話紅の 深染めの衣を 下に着ば

譬喩(ひゆ)

※譬喩;人の姿態、行為、感情などを事物にたとえて詠む歌。


紅の 深染めの衣を 下に着ば 人の見らくに にほひ出むかも

                      (巻11-2828)

紅の花で深く染めた衣を下に着てしまうと、他人にそれとなく気づかれてしまうかもしれない。


「紅の深染めの衣」は、赤く染まった女性の身体。

「下に着らば」は、その女性と契りを結ぶこと。

詠み手(男)は、契りを結んだ後に、いつの間にか他人に知られてしまうことを不安に思っている。


「不安になるのだったら、そんなことはやめておけ」

「意気地がない」

と批判するのは、他人だからできること。


男女の恋は、そんな理屈通りには、進まない。

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