第902話住吉の 浜に寄るといふ うつせ貝
住吉の 浜に寄るといふ うつせ貝 実なきこともち 我れ恋ひめやも
(巻11-2797)
※うつせ貝:中身のない貝。貝殻。
住吉の浜に打ち寄せられる、中身のない貝殻のような、そんな中身のない恋を私がするでしょうか。
伊勢の海人の 朝な夕なに 潜くといふ 鮑の貝の 片思にして
(巻11-2798)
伊勢の海女が毎日、朝と夕に潜って取る鮑貝と同じで、私の恋は、いつも片思いなのです。
貝を題材として、恋を詠む。
これも現代人にはない感性。
いつの間に失われてしまったのだろうか。
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