第897話風吹かぬ 浦に波立ち なかる名を

風吹かぬ 浦に波立ち なかる名を 我は負へるか 逢ふとはなしに

                         (巻11-2726)


風が吹いていない浦に、波が立つはずがないのに、ありもしない噂を立てられてしまいました。そもそもあの人と逢うこともないのに。


誰が言いふらしているのかわからない。

事実無根の噂を立てられてしまった女性の嘆きか。

何時の時代でも、無責任な噂やデマに苦しむ人は多い。

面白半分で、他人を中傷、苦しめて、いざという時には知らんぷり。

その底意地の悪さは、時代を越えて改まることはない。

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