第880話我が背子が 振りさけ見つつ 嘆くらむ
我が背子が 振りさけ見つつ 嘆くらむ 清き月夜に 雲なたなびき
(巻11-2669)
私の愛しい夫が仰ぎ見ては嘆いていることでしょう。
こんな素晴らしい清らかな月夜に、雲はたなびかないでください。
まそ鏡 清き月夜の ゆつりなば 思ひはやまず 恋こそまさめ
(巻11-2670)
※ゆつりなば:移るの意味。この歌の場合は暗くなってしまったら。
澄み切った鏡のように清らかな月夜が、真っ暗闇に変わってしまえば、私の物思いはやまず、恋の苦しみも増してしまうでしょう。
いずれも清らかな月を、曇らせたくないとの思い。
暗闇に恋心まで不安が増してしまうのだろうか。
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