第868話難波人 葦火焚く屋の 煤してあれど

難波人 葦火焚く屋の 煤してあれど 己が妻こそ 常めづらしき

                       (巻11-2651)

難波人が葦火を焚く部屋のように、煤けてしまったような妻ではあるけれど、私の妻こそ、どんな時でも可愛らしいのです。


宴会の場で詠まれたとの説がある。

いわゆる古女房の良さを詠む。

よほど仲がいいのか、仲間の前で「のろけ」たかったのか。

万葉集ならではの、おおらかさを感じる。

「家庭円満、天下泰平」のおめでたい歌、と称する人もいる。


いずれにせよ、華美な古今和歌集、新古今和歌集の世界とは異なる。




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