第867話そき板もち 葺ける板目の あはざらば

そき板もち 葺ける板目の あはざらば いかにせむかと 我が寝そめけむ

                            (巻11-2650)

※そき板:薄くそいだ板。板葺きの屋根に用いる。栗の木説がある。栗の木は縦に裂けやすく、薄刃のなたを使い板を作る。雨漏りとならないように、下に重ねるように敷く。かんなを丁寧にはかけないので、隙間ができて、しっかりとは合わない。


そぎ板で葺いた屋根の板目が、しっかりと合わないように、あの人とも逢えなくなってしまったなら、本当にどうするつもりで、共寝を始めたのだろうか。


女性が詠んだ歌。

不安を感じているので、すでに隙間(男の夜離れ)ができているのだと思う。

うかつに男を受け入れてたことへの、後悔と先々の不安を詠む。


古代家屋では、瓦にしろ、かやぶきにしろ、相当な高額。

そのため、庶民の家では板葺きが主流だった。

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