第861話小墾田の 板田の橋の 壊れなば

小墾田の 板田の橋の 壊れなば 桁より行かむ な恋ひそ我妹

                      (巻11-2644)

※小墾田の板田の橋:「小墾田」は大和国高市群。(奈良県高市郡飛鳥)。「板田」は所在未詳。


小墾田の板田の橋が壊れたとしても、私は橋桁を伝っても逢いに行く。

だから、愛しい妻よ、そんなに恋しがることはない。


たとえ、橋が壊れようとも、何とかして逢いに行く。

だから、心配はしないで欲しい、と妻に詠み贈る。


この場合の「橋が壊れる」は、逢瀬に対する邪魔や障害全般。

夫としては、どんな邪魔や障害があろうと妻を見捨てることはない。との強い気持ち。


受け取った妻も、さぞ、心強かったのではないだろうか。

なかなかの、名歌である。


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