第854話逢はじとも 我は恨みじ この枕

逢はじとも 我は恨みじ この枕 我と思ひて まきてさ寝ませ

                       (巻11-2629)

なかなか逢えないとしても、私は恨みません。

この枕を私と思って、共寝をなさってください。


枕を、通って来ない夫に贈った時の歌。

なかなか逢えないけれど、恨まない。

そのかわりとして贈った枕を私として、共寝して欲しいと、詠む。


ただ、恨まない。としても、実は納得までには至っていないのだと思う。

だから、枕を贈って、私の身代わりとして欲しいと願う。

夫に浮気の懸念があるのだろうか、そんなけん制も感じられる。







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