第845話あしひきの 山桜戸を 開き置きて

あしひきの 山桜戸を 開き置きて 我が待つ君を 誰が留むる

                      (巻11-2617)

※あしひきの:山にかかる枕詞。


山桜の戸を開けたまま、私が待ち焦がれる貴方を、いったい誰が留めるのでしょうか。


現代人でも理解できると思うけれど、扉を開けたまま、男を待つなど危険極まりない。

しかし、この女性は、その危険も無視する。

それにより、必ず男が来る、という確信があったのだろうか。

しかし、男は、なかなか来ない。

誰が邪魔をしているのか、あるいは他に女ができたのか。

女の不安と疑念は、ますます高まることになる。



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