第839話行かぬ我を 来むかと夜も 門ささず

行かぬ我を 来むかと夜も 門ささず あはれ我妹子 待ちつつあらむ

                          (巻11-2594)


行くことができない私を、必ず来てくれると夜も門を閉ざさずに、可哀そうに私の妻は、待ち続けていることだろう。


何らかの事情が発生し、急に妻の家に行けなくなったのだろうか。

現代のように、電話もない時代、行けなくなったとしても、すぐには連絡が取れない。


愛する妻の家に行くことができなくなった悲しみ。

門も閉ざさず、夜も眠れず待ち続ける妻への申し訳なさ、そんな哀切を詠んだ名歌。




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