第831話人目守る 君がまにまに 我さへに

人目守る 君がまにまに 我さへに 早く起きつつ 裳の裾濡れぬ

                      (巻11-2563)


世間の目を気にして朝早く起きて家を出て行く貴方と一緒に、私まで早く起きてしまいました。

お見送りをしたので、裳の裾も濡れています。


女の家で、熱い一夜を過ごした男は、世間に知られないように朝早く家を出て行くのが習い。

しかし、女は世間に知られてしまう危険も顧みず、男と一緒に朝早く起きて、裳の裾が濡れることもためらわず、見送った。

結果的には、世間に知られず、お見送りが成功したのだろう。

「裳の裾濡れぬ」には、愛する男と一緒に朝露に濡れた、お見送りができた、そんな喜びが込められている。

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