第830話人もなき 古りにし里に ある人を
人もなき 古りにし里に ある人を めぐくや君が 恋に死なする
(巻11-2560)
私は、ほとんど人が住んでいないような、古びた里に住む人なのです。
そんな人は、貴方は可哀想にも、恋死にさせようとのお気持ちなのですか。
おそらく女性が詠んだ歌。
「古びた里」は、平城京から見た藤原京とも言われているけれど、そうとると限定し過ぎる。
「人もなき 古りにし里」は、一般的な意味での「あなたが来てくれなくなった我が家のある里」と、捉えたい。
「いつでもお待ちしていますので、これ以上待つ苦しみをさせないでください」とのい呼びかけ歌と思う。
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