第807話君来ずは 形見にせむと 我が二人

君来ずは 形見にせむと 我が二人 植ゑし松の木 君を待ち出でむ

                        (巻11-2484)

袖振らば 見ゆべき限り 我はあれど その松が枝に 隠らひにけり

                        (巻11-2485)


あなたが来られない時は、形見にしようと私たち二人で植えた松の木なのです。

きっとその思いをくんで、あなたを待って、やがては来させることになるでしょう。


あの人が袖を振れば、見える限り私は立っていたけれど、ついにあの松の枝に隠れてしまいました。


どちらも女性が詠んだ歌。

待ち続ける時の気持ちと、見送る時の歌。

特に、相手が遠ざかって松の枝に隠れてしまう時の気持ちは、心に沁みる。


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